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 私の授業づくり 


筆者
生命健康科学部
保健看護学科
教授 堀井直子

むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく

「さっぱり分かりませ〜ん」

 

教師の胸にグサっと突き刺さる学生の言葉である。丁寧に噛(か)み砕いて、さらに噛み砕いて説明をしたつもりの時には教師を辞めようと思うほど落ち込んだ経験がある。私の授業づくりの信条を改めて問い直してみた時、“むずかしいことをやさしく”学生に伝えることを模索している。

 

保健看護学科は国家資格を有する専門職者を育成する学科である。国家試験出題基準が学生の学びの到達目標であることを踏まえると、難しいことを食わず嫌いにするわけにはいかない。そのため「サルでも分かる・・・(入門書)」のごとく、初学者である学生の目線へとポジションチェンジを心掛けて授業を構築する努力をしている。看護という営みそのものは人類共有の文化であるが、看護を職業とした時には、他の人々より上手で、それを裏付ける知識・技術・態度が望まれる。つまり“やさしいことをふかく”学ぶために“ふかいことをおもしろく”伝えることも重要である。

 

私の専門は、がん看護やターミナルケア論であり、決して楽しいテーマではない。がん看護を“おもしろく”教えるとはどういうことか。私はリアルさを伝えることだと思っている。実際に臨床現場でのリアルな現象や体験は授業をする上での貴重な教材となる。自らの体験や先輩学生の体験、患者個々の生々しい反応を、実践的な知識・技術・態度に裏付けをすることができた時、初めて学生にリアル感をもって伝わる。それは学生にとって、なぜ学ぶ必要があるのかを理解することになり、看護が真剣勝負であるという実感につながる。授業そのものが面白いこともさることながら、「看護はおもしろい」「看護って奥が深い」と学生が言ってくれた時、この上ない幸せを感じる。看護学の発展のために、学生の成長のために、私の鍛錬のために、今日も、せっせせっせとネタ帳に現場の素材を蓄積させていく。

logo No.119 (2013年12月)掲載
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