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 私の授業づくり 


筆者
国際関係学部
中国語中国関係学科
講師 和田 知久

実際的なコミュニケーション能力
燃え尽きぬために

 

中国語を学ぶ目的を学生たちに聞くと、往々にして「上級の検定試験に合格し希望の会社に就職すること」と、立派なそして頼もしい答えが返ってくる。

 

中国語中国関係学科では『資格中国語』『上級中国語』などの授業を準備しており、中国語検定であれば卒業までに2級以上を取得することを目標としている。間違いなく、検定試験は外国語の習得の度合いを測る有効なもの さしである。しかし、実際的なコミュニケーション能力とは、単に検定試験の級のみによって測られるものではないはずだ。実は「検定取得燃え尽き症候群」とでも言うべき状況に出くわすことがままある。

 

 上級の検定試験に合格した途端、学習意欲が消え失せ、重症になると学習することさえやめてしまうのだ。もちろん上級の検定に合格するためには、文法の正確な把握や語ごい彙の多さが要求される。上級の検定に合格するような「まじめな中国語学習者」にはその二つは申し分ないほどに備わっている。だが、次の点が決定的に不足しているように見受けられる。

 

 それは、意思疎通への意志であり、話そうとする気持ちである。またそれは、身に付けたコミュニケーション能力を使って、中国という学習ないしは研究の対象をより深く知ろうという意志の不足にもつながっている。就職し て、実際に意思の疎通をしなければならなくなった時、暗号解読のスキルでしかないそんな中国語では全く役に立たないだろう。

 

私の担当している入門から初級、中級のクラスにおいては、意思疎通への意志というものの大切さを認識できるよう指導することを心掛けている。具体的には相手の問いかけに間髪入れず返答する練習もその一つである。「は い」「いいえ」が即座に言えないのなら、「ちょっと考えさせてくれ」でも「えっと」でも構わない、何かすぐに口から言葉を出してやりとりを維持することの重要性を学生たちが認識できるよう取り組んでいる。

 

実際的なコミュニケーション能力は、その言語が使用されている「場」でこそ磨かれ高められるものである。それを支えるのは文法知識や語ごい彙の多寡だけではない、意思疎通への意志であると私は信じている。

 

 

logo No.101 (2010年12月)掲載
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