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 私の授業づくり 


筆者
国際関係学部
国際関係学科
准教授 加々美康彦

 

 

驚きを与える

私には、ささやかな信念がある。それは「驚きが人生を豊かにする」ということである。大好きなラテン音楽の歌に、“La vida te da sorpresas, sorpresas te da la vida.”(直訳すれば「人生は驚きを与え、驚きは人生を与える」)という一節がある。その通り、と思う。


大学時代、好きなラテン音楽の歌手が日本人と知って驚き、スペイン語にのめり込んだ(その成果が上の歌詞だ)。そして国際関係に興味を持ち、国際法のゼミに入った。卒業論文作成のため入室を許された書庫で膨大な書物に驚き、自分もここに所蔵される本を書きたいと思い研究の世界へ進んだ。日々の生活にふとした驚きがあり、いつもと少し違う世界を垣間見る。もっと知りたい、そう思ったときに人は前に進む。「驚きを与える」、これが私のやりたい教育の原点である。


とはいえ、学生に「驚いてもらう」のは案外難しい。「アンテナ」を張らない学生ならなおさらである。「国際法」「国際機構」といった前提知識(=忍耐)を多く要する法律系科目を担当する私には、90分はあまりに短く、学生には果てしなく長い。チャンスはおそらく一瞬で、「いかに印象づけるか」が勝負だ。


試行錯誤でたどり着いたのが、「法学らしくない」レジュメとパワーポイントである。レジュメは、よくある簡素な要点のメモ書きではなく、授業の流れが視覚的に理解できるようイラスト優先で構成する。イラスト選びに1日費やすこともある。イラストがはまると、学生は関心を持続させるようで、大量に書き込みをしたレジュメは「卒業後も大事に保存している」と言う学生もいる。パワーポイントはアニメーション中心で、ゆるキャラが進行役になったり、海外の現場で撮りためた写真の合間に私のプライベート写真が混ざることもある。それに気付いた学生が、講義後に笑いながら質問に来たら私の勝ち。驚かせるには、自分自身が驚いたことを楽しく伝える。これに尽きる。


logo No.121 (2014年4月)掲載
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