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 私の授業づくり 


筆者
工学部
応用化学科
講師 宮内 俊幸

学生に育まれた新米教員

 

私は1・2年次開講の講義とそれに関連した実験を担当している。化学は、知識と技術の両方を身に付けて、化学技術を習得することとなる。その意味で、入学当初の学生に講義と実験を同時期に指導することは幸運であり、実験場で得た学生との信頼関係が教室管理をスムーズにしている。私が初めて教壇に立った時、先輩教授から「新人教員は学生に育てられるもの」と教えをいただいたが、授業を担当して「知っている事」と「教える事」は全く別のものであることに気付かされ、授業の難しさを感じた。また、授業は、教員一人では成立しない。受け取る 学生がいて、授業は成立する。そのことを学生から教えてもらい、今も学生に育ててもらい教員として成長している。

 

講義では初回のオリエンテーションで演習問題を配布し、ゴール地点(達成度目標)を明確にしている。講義を重ねるごとに、解けなかった問題が解けるようになり、系統的に内容を理解 できたことを学生自身が実感できるよう工夫している。実験では、学生と同じ目線で化学反応の現象を観察し、感動を共に味わっている。実験室では私はインストラクターであり、学生と対等に接するために、学生の名前を覚え、学生を名前で呼ぶことに力を注いでいる。顔と名前が一致した途端、学生との距離が縮まり、どのような問題を抱えているのか感じとることができ、教育的配慮を発揮できる。

 

授業を担当して5年が過ぎたが、4月に新入生を迎えて教壇に立つ時は今でも震える。私も本学の卒業生であり、多くの先生方に愛情を持って指導していただいた。その教えの中に明治・大正の政治家である後藤新平の「財を遺すは下、業を遺すは中、人を遺すは上」の言葉があり、印象に残っている。教育とはまさに人を遺す(成す)ことである。だからこそ、「授業が変われば学生も変わる」と信じている。卒業生である私がなぜ、中部大学の教壇に立っているのか、その意味をもう一度考え、学生と共に歩んでいきたい。

 

logo No.111 (2012年8月)掲載
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