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 私の授業づくり 


筆者
人文学部
英語英米文化学科
准教授 本内 直樹

私の『専門基礎』授業
〜憧れの英国人の生きざまに学ぶ〜

 

私は英語英米文化学科で「イギリス社会史」を教えているが、「歴史」と聞いただけで抵抗感を覚えたり、そもそも高校で「世界史」を学んでいない学生もいる。そこで「歴史」を少しでも楽しんで学んでも らえるよう工夫したいと考えている。

 

ここでは私の1年生対象科目の『専門基礎』授業について紹介しよう。この授業は、小論文を作成することに主眼が置かれるが、私のクラスの課題は@自分の憧れる英国人を誰でもよいから選び、Aその人物のライフ・ヒストリーを作成し、Bその人物が社会・文化にどのようなインパクトをもたらしたのかについて自ら調べ発表し、小論を作成してもらうことにしている。

 

すると学生は途端に目を輝かせ、自分の興味あるスポーツ・音楽・ファッション分野を中心に、「ベッカム」「マリー・クワント」「ビートルズ」「イギリスの海賊(漫画ワンピースの流行が 理由)」「ダイアナ妃」などを挙げ、「これなら調べたい」と意欲を見せる。実際、彼らは、自分の好きな人物については徹底的に調べてくる。プレゼンをさせると、生き生きと報告し、自分の憧れる人物について凝りに凝ったパワポに使用する画像を探してくる。

 

そこで私は学生に問う。ではなぜその人物は、突出した才能があるのか?そのためにはどのような努力や苦労を重ねてきたのか?その人物が生きていた時代背景とは、とその人物個人の思想と社会との関連性を考察させる。例えばマリー・クワントであれば、単なる「ミニ・スカートを考案した偉大なる人物」という次元で終わるのではなく、「社会階級」「1960年代の女性意識と社会進出」「性の解放」といったように視野を広げ、考察領域を押し広げてもらうように促している。

 

このように、偉大なる人物の「人生」と「時代背景」を関連付けながら学ぶことで、結局「すごい人」とは、国や時代を異にするとは言え、「生きる姿勢」が自分とどう違うのか、「独創性」 とはいかなるものか、実社会で活躍していくためにはどのような勇気ある行動が必要とされるのか、など学生自身の「今後の生き方」についてのヒントを「歴史」から学びとり、各自「夢」を持ってほしいと思っている。

logo No.105 (2011年8月)掲載
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