中部大学通信「ウプト」189号
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2 これから人類はどうなるのだろう。グローバリズムの進行、財政困難、雇用不安、高齢化、領土紛争、貧困、自然破壊……こうした問題について、国家や国際組織はうまく対処できないでいる。そのため、いまや人類は〝反乱の時代〞をつくりだしているのではないだろうか。政治の反乱 政府や議会への不信、失望が広がる中で、政治の内部で反乱が起きている。ティーパーティー運動(アメリカ)、維新の会(日本)といったものがそれであろう。だが、議会をはじめとする近代政治システムに代わる有効な合意形成のシステムは、まだ見い出せない。地方の反乱 既存の国家に対する地方の反乱が多発している。ブリテン島のスコットランド独立運動(2014年8月住民投票予定)、スペインのカタルーニャ分離独立運動(2014年11月住民投票予定)、ベルギーのフランドル地方独立運動、ロシアのウクライナ独立運動、中国のチベット独立運動など。日本の「琉球独立論」も同様の指向である。これも数世紀続いた近代国家システムへの、一種の反乱とみることができる。民衆の反乱 アメリカで、ファストフード店の従業員が一斉に一日ストを行ったり、サウジアラビアの女性が堂々と車を運転したり。日本でも不安定雇用や「ブラック企業」を摘発する運動が起こっている。いずれも、近代国家システムの一部であった労働組合組織とは別のレベルで、IT通信を活用して行われているところに特徴がある。個人の反乱 ITメディアの普及とともに、大手メディアに頼ることなく、たった一人でも相当強力な発信者になれるようになった。権力から自由なインデペンデント・メディアの登場も、一種の反乱である。自然の反乱 3・11に始まる原発災害、沖縄・辺野古の基地建設。異常な気象現象の多発は、温暖化がストップしていないことを示唆している。自然破壊は止まらないどころか、むしろ拡大している。いずれ自然は、止められない大反乱を起こすだろう。 人類は、こうした反乱をくぐり抜けながら、前記のような諸問題を解決していくことになる。そのための秘訣は、「スモールサイズで行こう」だろうと思う。 社会主義を含め、ここ数世紀の人類の経験は、大きすぎるサイズの機構を中央命令型で運営することがいかに困難であるかを示している。前記の反乱群も、いずれも「スモールサイズ」の側からの異議申し立てである。 我田引水ながら、人文・社会科学系の研究を推進するための機構である国際人間学研究所も「スモールサイズ」である。この反乱の時代に、希望の入り口を見つけるための地道な活動を行っていきたいと思っている。1955年兵庫県生まれ。東京大学文学部日本史学科卒業、一ツ橋大学大学院社会学研究科博士課程修了、米国ウィスコンシン大学歴史学部大学院留学。韓国延世大学国際関係学部客員教授。著書・訳書に『ビッソン日本占領回想記』(三省堂、共訳、1983年)、『吉田茂とサンフランシスコ講和』(大月書店、上・下巻、1996年)、『年報日本現代史(第5号)』(現代史料出版、共著、1999年)、『戦争と平和の同時代史』(青木書店、共著、2003年)、ジョン・W・ダワー『敗北を抱きしめて』(上・下巻、岩波書店、共訳、2004年)、『日本の時代史26戦後改革と逆コース』(吉川弘文館、共著、2004年)、『新・現代歴史学の名著』(中公新書、共著、2010年)ほか論文多数。2004年、ドライブ中に、イマジネーションによる手と口の連動を利用したSound Stepsを着想。「発音に自信のない先生たちのためのSound Stepsミニライブ」(日本児童英語教育学会全国大会)、大学英語教育学会などで発表。発音指導でNHK「英語でしゃべらナイト」出演、雑誌『英語でしゃべらナイト』連載。趣味は掃除、ギター。三浦陽一 (みうら よういち)

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