CUルーブリックライブラリ手引きVer2
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図1 カリキュラム・ポリシーとアセスメント・ポリシーの関係 ルーブリックとは中部大学 大学教育研究センター客員教授立命館大学 教育・学修支援センター長・教授沖 裕貴2012年、中央教育審議会から提起された答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」では、『成熟社会において学生に求められる能力をどのようなプログラムで育成するか(ディプロマ・ポリシー)を明示し、その方針に従ったプログラム全体の中で個々の授業科目は能力育成のどの部分を担うかを担当教員が認識し、他の授業科目と連携し関連し合いながら組織的に教育を展開すること(カリキュラム・ポリシー)、その成果をプログラム共通の考え方や尺度(アセスメント・ポリシー)に則って評価し、その結果をプログラムの改善・進化につなげるという改革サイクルが回る構造を定着させることが必要である』と謳われています。いわゆる3つのポリシーの確立、PDCAサイクルの回る内部質保証システムの構築と併せて、新たに「アセスメント・ポリシー」という言葉が提言されました。アセスメント・ポリシーとは、簡単に言うならば、あるプログラム(カリキュラム)で学んだ学生が、最終的にその学部・学科のディプロマ・ポリシーを達成したかどうかを挙証することです。具体的には学修行動調査(学生調査)や学習到達度調査、ルーブリックを用いたパフォーマンス評価(ルーブリック評価)、学修ポートフォリオなどが挙げられていますが、卒業時に学生がどのような知識、技能、態度を身につけたかを、ディプロマ・ポリシーに則って明らかにする手段であり、内部質保証システムにおけるcheck として機能することが期待されているものです。図1において、ディプロマ・ポリシーとカリキュラムとの間の「有効性(学修成果の測定)」に相当します。加えてルーブリックを用いたパフォーマンス評価(ルーブリック評価)や学修ポートフォリオは、上記プログラム(カリキュラム)の効果検証のみならず、個々の授業の総括的評価(成績評価)や形成的評価(学習者がさまざまな教育活動の途上で、その活動が所期の目的を達成しつつあるかどうか、どのような点で活動計画の修正が必要であるかを知るために行われる評価活動)にも積極的に活用が図られる必要性が指摘されています。図1における授業設計・実施と成績評価の間の「妥当性(客観的・公平かつ厳格な成績評価の検証)」がそれに相当します。そして、成績評価とは、授業の到達目標の達成度を最終的に客観的・公平かつ厳格に評価することを意味し、-5-

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