2021研究紹介
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79キーワード相談に応じられる内容キーワード相談に応じられる内容黒田清輝《読書》1890-91年、東京国立博物館芸術家村グレー=シュル=ロワン文化を発信した、19世紀フランス芸術家村の研究 ARAYASHIKI Toru 人文学部    民族資料博物館長教授 荒屋鋪 透美術史、文化史、西洋近代美術史、日本近代美術史、フランス近代美術史、芸術交流史、芸術家村の歴史、スウェーデン近代美術史、英米近代絵画史芸術家村、異文化交流、滞在型留学施設 芸術の都パリは、19世紀に美術学校とルーヴル美術館など、都市の文化機能の整備と充実により発展するが、近郊の小村が果たした役割は従来、あまり知られていなかった。私の研究は、その芸術家村のひとつ、グレー=シュル=ロワンに注目し、フランス画家のみならず、英国、アイルランド、日本、アメリカ、スウェーデンなど諸外国からグレーに集った画家、文学者、音楽家の活動と村での異文化交流の様相を調査、研究しながら、自国の文化への影響力の強さを、長期にわたる現地調査から解明することにあった。【研究テーマ】芸術家村へのフィールドワーク芸術家村が形成される要因は、①絵画の主題、モチーフとなる自然環境が整っている。②制作がしやすく長期滞在可能なホテルがある。③英米、北欧、日本など芸術家コロニーを形成する主導的な芸術家の存在などである。●異文化交流の美術史的意義●小説家ロバート・ルイス・スティーヴンスンと英米のコロニー●劇作家ストリンドベリ、画家カール・ラーションと北欧のコロニー●グレーに滞在した画家の黒田清輝、浅井忠が日本近代洋画にもたらしたものキーワード相談に応じられる内容キーワード相談に応じられる内容“公共とは何か” あるべき社会を考えるチャールズ・テイラーの公共論の研究UMEKAWA Yoshiko人文学部講師 梅川 佳子新自由主義と公共論の関係、現代国家と公共社会アジアにおける公共圏 現代社会においては、欧米のみならずアジアでも、複数の文化の間で緊張関係が発生しており、国家内的な対立や、国家間の対立が生じています。特に、諸国家間の適切な関係と政治的な安定をいかに確立するかという課題が大きな問題になっています。そこで、新たな政治共同体のあり方を探究してきたチャールズ・テイラーの哲学が注目されています。現代日本においても、テイラーの著作の邦訳が出版されつつあり、テイラー研究の重要性が認識され始めています。 しかし、テイラーの諸著作が難解なこともあり、彼の政治哲学を包括的に明らかにしようとする本格的な研究は、日本においては、まだ着手されたばかりです。そうした中で、私の研究は、欧米でもまだ解明されていないテイラー青年期の公共論(共同体・国家論)を解明しています。この研究は、今後のテイラー研究に対して貢献をしていくだけでなく、現代の国家内外の危機に対応する方策をさぐることにもなります。 現在は、彼の公共論についての研究を基礎として、公共論と新自由主義の関係、アジアにおける公共論の研究、グローバルな共同体における多文化主義の研究、現代の公共社会における女性の役割の研究へと視野を広げています。【研究テーマ】●テイラーの共同体論を読み解き、現代国家の内外の危機を打開する方策 をさぐる●新自由主義と公共論の関係●カナダにおけるデモクラシーと連邦制政治哲学、公共哲学、カナダ政治、チャールズ・テイラー人文学部人文学部

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