2021研究紹介
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62キーワード相談に応じられる内容独自HPキーワード相談に応じられる内容熱や痛みなどの感覚刺激を受容し調節する分子機構の研究KATANOSAKA Kimiaki生命健康科学部 生命医科学科准教授 片野坂 公明動物行動試験、感覚ニューロンの培養およびこれを用いた各種生理学実験、疼痛に関する薬効試験、感覚受容体タンパク質のバイオセンサーとしての応用 我々の皮膚・筋・内臓などの感覚は、感覚受容器(一次感覚ニューロン)が各々特定の刺激によって興奮することにより生じる。しかし、熱や機械刺激などを受容し、神経の活動へと変換するための分子機構については不明な点も多い。さらに、感覚受容器とそれに続く神経経路の活動の変調は、傷病時の痛み(痛覚過敏や自発痛)や感覚異常の要因でもあり、その予防と治療の観点からも重要な研究テーマである。私達は、遺伝子欠損マウス・培養感覚ニューロン・各種生理学実験・動物行動試験・免疫組織化学等、様々な手法を駆使して、感覚受容器の情報変換機構ならびに神経や筋の機械刺激に対する適応のしくみに関する研究を行っている。【研究テーマ】●高温痛覚刺激の受容メカニズムの解明 ラットやマウスを用いて高温感受性の痛み受容器細胞を同定し、その 発現分子と機能的特徴の解析から、高温受容のメカニズムを調べている。●培養感覚ニューロンの機械応答と活性調節機構●機械感受性イオンチャネルの生体における機能●炎症・神経損傷モデル動物での感覚受容器の機能変化●筋の機械受容応答と適応の分子基盤痛み、温度感覚、機械感覚、感覚ニューロン、イオンチャネル、痛覚過敏、筋肉痛、メカノバイオロジーキーワード相談に応じられる内容キーワード相談に応じられる内容脂肪細胞の機能制御による肥満とメタボの予防・改善YAMASHITA Hitoshi生命健康科学部 生命医科学科教授 山下 均肥満やインスリン抵抗性などメタボリック症候群の予防改善をめざす研究開発 脂肪細胞はエネルギー代謝や体温調節において極めて重要な役割を果たす。肥満に伴う白色脂肪細胞の増加はメタボ発症の要因となり、エネルギーを消費する褐色脂肪細胞は、温暖環境や加齢とともに減少し肥満の原因となる。我々は、天然化合物エボジアミンの抗肥満、インスリン抵抗性改善作用を見出した。また、新規内分泌因子CREG1がミトコンドリア脱共役タンパク質(UCP1)の発現を促進し、褐色脂肪化を誘導することを明らかにし、肥満やメタボの予防改善法の開発を進めている。【研究テーマ】●CREG1による抗肥満、メタボ予防法の開発 我々は、褐色脂肪細胞の分化誘導に係る新規内分泌因子CREG1を見出した (国際特許出願)。CREG1-Tgマウスを用いた研究から、CREG1は抗肥満、 メタボ改善作用を示すことが明らかとなった。現在、医療/健康分野に応用 すべく研究を進めている。●エボジアミンの抗肥満/インスリン抵抗性改善作用に関する研究 エボジアミンは生薬由来の機能性化合物であり、前駆白色脂肪細胞の分化を 阻害すると共に、成熟脂肪細胞に対してはAMPKの活性化を介してインスリン 抵抗性の改善作用を示すことから(特許第4894993)、抗メタボ剤としての 応用が期待される。●高温環境が生活習慣病の発症と病態進展に及ぼす影響の研究 地球温暖化は体温調節や疾患発症などに深く係る。我々はUCP1欠損マウスや 高温環境における体温上昇がメタボや認知症に与える影響について明らかにし、 それらの予防法開発につなげることを目指している。脂肪細胞、UCP1、エボジアミン、CREG1、肥満、インスリン抵抗性、エネルギー代謝、健康長寿特許P106参照生命健康科学部生命健康科学部

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