2021研究紹介
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60キーワード相談に応じられる内容キーワード相談に応じられる内容“総合的”な予防医学の研究-0次から3次予防及び、救急医学や死までを包括-    ITO Morihiro 生命健康科学部 生命医科学科教授 伊藤 守弘予防医学に関する事項、感染制御に関する技術、抗インフルエンザウイルス活性の評価、画像診断の応用利用と評価、心肺蘇生法の質評価に関する検討 医療は、「病気の治療」や「社会復帰の促進」などから、「早期発見」・「健康増進」という、人々の関心が予防医学へと確実にシフトしている。予防医学は元来、衛生学・公衆衛生学・微生物学等が担当してきたが、近年、より総合的な予防医学としての再考・細分化(上図)がされてきている。当研究室は、これまで、ウイルス研究における予防医学(下図)を中心に取り組んで来た。感染症の原因となるウイルスを解析し、ウイルスが特定されれば、治療法が確立される。また、ウイルスを識ることで、予防法を探究することができ、予防接種や診断法の開発につなげてきた。これらの経験をベースに、現在の微生物学に固執せず、大きなくくりである予防医学を研究軸として進めている。具体的には、従来の微生物学・感染症学分野を基盤としながら、生活習慣や身体生理学的な分野、メディカルチェック、リハビリテーションなどの進んだ予防と、予防から突出した分野である救命医療や死後画像診断まで、幅広い研究テーマを展開している。 【研究テーマ】●ウイルス感染における細胞障害機構の解析●抗ウイルス活性の評価●新しい生活におけるマスク着用時の生理学的影響評価●心肺蘇生(CPR)の体位が質に及ぼす影響の検討●病院前救急医療におけるモバイルエコーの有用性検討予防医学、病原微生物、感染制御、CPR、画像診断キーワード相談に応じられる内容キーワード相談に応じられる内容野生動物管理に役立つ腸内細菌研究 TSUCHIDA Sayaka応用生物学部講師 土田 さやか腸内細菌研究、プロバイオティクス開発、微生物機能解析、環境保全研究 腸内細菌は動物種ごとに異なっており、食べ物の消化や免疫賦活による宿主の健康維持に役立っています。様々な野生動物にも、その動物に特徴的な「共生腸内細菌」が存在しており、我々人間であればお腹を壊してしまうような、野生下の食べ物に含まれる反栄養物質や毒素を分解し、消化することができます。例えば、野生草食動物の食べる植物は、一般に人間の食べる野菜とは異なり、アルカロイドや青酸配糖体などの毒素や、タンニンなどの反栄養物質を含んでいます。野生動物はこれらの物質を、彼らの腸内細菌が持つ酵素によって分解し、無毒化することによって栄養としていることがわかってきました。我々は、このような野生動物の腸内細菌の持つ有用な性質に着目しプロバイオティクスを開発し、希少動物の保全に役立つ腸内細菌研究を行なっています。類縁の家畜種やペットなどの保健にも役立つと期待されています。 【研究テーマ】●ゴリラに特徴的な乳酸菌の研究 野生個体、飼育個体問わず分離されるゴリラ特異的乳酸菌Lactobacillus gorillae の表現及び遺伝形質を、培養法や全ゲノム解析を用いて研究しています。  ●スローロリスおよびマーモセットの給餌改善が共生細菌にもたらす効果 飼育スローロリスおよびマーモセットの給餌改善に伴い、消化管内細菌や口腔 内細菌がどのように変化したかを菌の生理性状により評価しています。●ライチョウの保護増殖に関する腸内細菌研究 飼育ライチョウを野生復帰個体群として維持するために、野生型の腸内環境に 近づける試みを行っています。野生動物、腸内細菌、プロバイオ、保全、保健衛生生命健康科学部応用生物学部

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