2021研究紹介
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55キーワード相談に応じられる内容キーワード相談に応じられる内容様々な自然環境に生息する魚類の生物学的研究TAKEI Shiro応用生物学部 環境生物科学科講師 武井 史郎水生生物の組織形態学的研究、フィールドサンプリング、飼育実験、分析化学とくに質量顕微鏡法による網羅的分子イメージング、魚の解剖実習などを通じた科学教育 我々日本人にとって、 魚類は産業・文化的において身近な動物です。学術的にも、魚類はヒトにも共通する器官(眼、骨格、顎、歯、胃など)を創りあげた脊椎動物の始祖として比較解剖学的にも進化生物学的にも興味深い研究対象であるほか、様々な水中環境へ適応にした魚類の研究は海洋環境の現状を知る一つの指標ともなり得ます。 本研究室は様々な自然環境に生息する魚類を対象とし、主に以下のテーマに沿った魚類生物学の研究を行っています。【研究テーマ】●魚類の感覚器、特に視覚系における機能的意義の解明 組織形態学的手法を主に用い、自然環境に生息する様々な魚種が感覚系を どのように役立てているかを研究します。特に飼育が難しい深海魚や入手 困難な魚種では、本研究手法が力を発揮します。●発音魚における発音運動系の研究 一部の魚は、自ら「鳴く」発音魚です。しかしながら、発音魚に関する 研究はまだまだ少ないです。発音魚の研究を通じ、魚類における発音の 機能的意義と、ヒトとの進化生物学的な関係を追究します。●魚類の生体内分子を対象とした分析化学的解析 魚は不飽和脂肪酸を多く含有する脂質をはじめ、陸上の動物とは異なる 生体内分子を持っていますが、その機能的意義は不明な部分が多いです。 本研究は形態学と分析化学を組み合わせ、生体内分子の組織内分布に 着目した研究を遂行します。魚類、視覚、感覚器、発音魚、組織形態学、分析化学、脂質生物学キーワード相談に応じられる内容キーワード相談に応じられる内容脊椎動物の染色体・ゲノムおよび性決定機構の進化MATSUBARA Kazumi応用生物学部 環境生物科学科准教授 松原 和純脊椎動物全般の染色体解析、細胞培養技術、DNA解析による多様性調査、核型分析などを通じた学校教育 全ての生物は種固有のゲノムをもち、そのゲノムを構成する染色体の数、大きさ、形は種間で異なります。この様な染色体・ゲノムの多様性は、生命の長い進化の過程で獲得されてきました。また、生物には性が決まる仕組みにも多様性がみられます。我々ヒトを含む哺乳類では個体の性は遺伝的に決定されますが、脊椎動物全体に目を向けると環境により性が決まる種もいます。例えば、ワニやカメなどの爬虫類では卵の温度により性が決まります。 当研究室では脊椎動物における染色体構造やゲノムの進化過程の解明に取り組み、同時に、性決定様式の異なる種の間で性分化機構を比較解析することで、性決定様式が変遷する仕組みの解明を試みています。また、これらの研究で得られる知見を、環境変動により絶滅が危惧される種の保全にも活用したいと考えています。【研究テーマ】●近縁ヤモリ種間における性決定・性分化機構の多様性に関する比較研究●染色体構造変化が生殖隔離・種分化に及ぼす影響の解明●脊椎動物のゲノムに存在する微少染色体の起源とその機能に関する研究●単一染色体シーケンス解析を基盤とした脊椎動物におけるゲノム解析法 の確立染色体、性決定、脊椎動物、進化、分子系統応用生物学部応用生物学部

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