2021研究紹介
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54キーワード相談に応じられる内容独自HPキーワード相談に応じられる内容←環境ストレスや有害物質に対する生体防衛反応を、赤色蛍光で視覚化した組換え体線虫。全身の細胞核で赤く光っている。この反応はヒトとほぼ同じ仕組みであることがわかっている。←昆虫病原性線虫に感染して死亡したヤマトゴキブリ。お腹を割くと増殖した線虫が大量に出てきた。寄生・共生の分子メカニズムとその進化を明らかにすること、さらに新しいゴキブリ駆除法の開発にも繋げるべく研究を進めている。マツ実生苗を用いて、マツノザイセンチュウ病原性検定を実験室内で大量におこなうことが可能である。線虫との攻防に負けたマツは、針葉が茶色く褐変しまもなく枯死してしまう→生物の環境適応性進化の研究HASEGAWA Koichi応用生物学部 環境生物科学科准教授 長谷川 浩一寄生性線虫の病原性、昆虫病原性線虫の生物農薬への応用、衛生害虫ゴキブリの同定 生物は地球上の様々な無機的・有機的生物環境に適応し、寄生・共生といった生物間相互関係を繰りひろげながら、絶妙なバランスをとって生活している。本研究室では線虫を対象生物とし、生物間相互関係の面白い現象を発見し、その現象の意味や進化の過程を問いながら、それらを分子遺伝学的に証明してゆくことを目標に研究を進めている。【研究テーマ】●生体防衛機構の基礎および応用研究 生物がいろんな生活環境に適応して生きてゆくうえで、生体防衛機構を 発達させてきた。線虫でみられる生体防衛機構の分子メカニズムを明ら かにし、ヒトの老化や疾病予防へと役立てていきたい。● 寄生性線虫の病原性に関する研究 世界の森林生態系の脅威であるマツ枯れ病は、マツノザイセンチュウが 主病原体である。枯死メカニズムや媒介昆虫との相互関係についての 研究を進めながら、本病防除法の開発を目指している。●寄生・共生の進化に関する研究 病原性微生物を上手く利用し、他の生物を殺してそれを餌にしたり、 競争相手を駆逐したりする線虫がいる。微生物と線虫が共生関係を結ぶ に至った経緯を調べ、生物農薬としての応用を目指している。寄生、共生、マツ枯れ病、生物農薬、衛生害虫、線虫、ゴキブリ、ゲノム200 µmキーワード相談に応じられる内容キーワード相談に応じられる内容双子葉植物の形態形成に関する研究KOJIMA Shoko  応用生物学部 環境生物科学科准教授 小島 晶子植物分子育種、遺伝子組換え 植物は、様々な遺伝子による調節を受けて、主要な光合成器官である葉を形作る。双子葉植物では、葉の表と裏が分化した後で、葉の平らな部分が伸びるというモデルが提唱されている。シロイヌナズナの ASYMMETRIC LEAVES2 は植物固有のタンパク質で、環境ストレスが存在しても、葉を正常に分化するのに関わると考えられる。 本研究室では、葉を作る際の遺伝子ネットワークを明らかにするため、分子遺伝学的な手法を用いた研究を行っている。最近の研究から、葉が形成される際には、植物ホルモンであるサイトカイニンの合成酵素遺伝子が調節されていると考えている。シロイヌナズナで葉を形作る分子機構が明らかになると、他の植物種の培養や品種改良にも応用できる可能性がある。【研究テーマ】●シロイヌナズナの葉の形成における遺伝子ネットワークの解明とサイト カイニンの作用に関する研究●ブドウのRNAウイルス検出とウイルス非感染ブドウ樹の作出 ウイルス感染していないブドウ樹を茎頂メリステムから個体再生する 技術を開発している。この技術により、より成熟した、ワインの醸造に適 したブドウ樹の作出を目指している。植物、形態形成、分子遺伝学、ブドウ応用生物学部応用生物学部

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