2021研究紹介
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51独自HPキーワード相談に応じられる内容発光生物の総合的研究OBA Yuichi応用生物学部 環境生物科学科教授 大場 裕一発光生物(ホタルなど)の遺伝子ハプロタイプ解析、発光生物の分布調査、科学教材としての発光実験系の開発、発光生物を通じた科学教育(実験教室、講演会、著述、取材、展示協力)など 光る生きもののことを「発光生物」という。その代表はホタルであるが、日本に50種ものホタル科昆虫がいることはあまり知られていない。発光するミミズは日本に2種が知られているが、どちらも簡単に見つけることのできる普通種である。海の中には陸上よりもずっと多くの発光生物がいるが、ほとんどは深海に棲んでいるためそのライフスタイルを目にすることはめったにない。興味深いことに、これら多種多様な発光生物たちは、それぞれ独自の発光反応メカニズムを持っている。このことは、発光という形質が進化の過程で独立に何度も出現したことを意味している。私たちの研究グループでは、こうした発光生物の知られざる側面にさまざまな角度から光を当てて、独自の研究を展開している。【研究テーマ】●未知発光メカニズムの解明 発光メカニズムが未知の生物(発光キノコ、発光魚、発光ミミズ、発光菌類など) の発光物質の解明を試みている。●生物発光の進化の研究 発光メカニズムが既知の生物(ホタル、ウミホタル、コペポーダなど)について、 発光能の進化プロセスを研究している。2018年にホタルの全ゲノム解読に成功。●発光生物DNA バーコーディング 日本の発光生物を網羅的に収集し、遺伝子情報を保存するDNA バーコーディング プロジェクトを進めている。●発光生物の分布調査 ホタルやホタルミミズなどの日本国内の分布を調査し、遺伝子解析によりその系統 進化を研究している。●深海発光魚の視覚と発光 発光する深海魚ついて、視覚と発光の関わりからその生活様式を研究している。発光生物、ホタル、ホタルミミズ、発光菌類、発光魚、科学教育、科学教材、遺伝子解析「生きものが光る」というテーマを切り口に、科学啓蒙にも力を入れて講演会や執筆、科学館の展示協力など幅広い活動を行っている。ホタルミミズ(Microscolex phosphoreus)は、探し方さえ分かれば近所の公園などでも簡単に見つけることができることがわかった。ギリシア時代から人々を魅了してきた発光キノコについて、その発光に関わる物質を2015年ついに解明。試験管の中でその発光を再現することに成功した。離島から深海まで、日本全国の発光生物を調査し、遺伝子データを集めている。中部大学「発光生物学研究室」では、日本の発光生物に関するあらゆる情報を集約する準備を進めている。キーワード相談に応じられる内容キーワード相談に応じられる内容これまでの主な活動範囲動物の健康を担保する飼料や生菌剤の開発USHIDA Kazunari応用生物学部 環境生物科学科教授 牛田 一成陸生および海産動物の飼料開発、消化生理、腸内細菌研究、プロバイオティクス開発、微生物機能解析、野生動物保護 それぞれの動物は、進化の中で食性に応じた消化器官と消化機能を持つようになっており、草食動物と肉食動物では、食べ物が全く違うため、それに応じて消化器の大きさや形態、その中に住みつく共生腸内細菌が違っています。反芻目のウシを食肉目のイヌのエサで飼うことはできませんが、食肉目でもクマは、小腸を長くすることで雑食化に適応して植物性食物を大量に食べることができるようになっています。さらに進んだパンダでは竹しか食べずに暮らしています。草食動物でも、反芻目のキリンでは、ウシの食べる高繊維低タンパク質の草原の草よりも低繊維高タンパク質のマメ科樹木の葉などを食べて暮らしているため、ウシのエサで飼育することは困難です。 我々は動物の食性とそれに適応した栄養生理と共生腸内細菌にもとづいた飼料や生菌剤の開発を目指しており、また、野生動物の持つ有用な性質に着目しプロバイオティクスを開発し、希少動物の保全に役立つ腸内細菌研究を行なっています。その成果は類縁の家畜種やペットなどの保健にも役立つと期待されています。 【研究テーマ】●絶滅危惧種ニホンライチョウの保全研究(環境省と連携)●絶滅危惧種コンゴヨウムの保全研究(JICA草の根プロジェクト)●ゴリラ、チンパンジー、ムササビ、ニホンライチョウなど葉食/果実食動物の消化生理 と共生腸内細菌の研究●トラやライオン、カワウソ、アフリカハゲコウ、ヤモリ類など肉食動物の消化生理 と共生腸内細菌の研究●アオウミガメなど海産草食動物の消化生理と共生腸内細菌の研究●魚類の消化生理と共生腸内細菌の研究動物、飼料開発 腸内細菌、プロバイオ、保健衛生、野生動物保護応用生物学部応用生物学部

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