幸友23
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展や経済成長につなげる意図をもった政策だと思います。うまくいけばいいのですが、一方で、自由な働き方といいながら末端の労働者の長時間労働を促進してしまうこともあります。今やコロナ禍によって広く普及したテレワークも、労働者の生活にあわせた自由な働き方のように思われますが、正確な労働時間を把握することが難しくなり、長時間労働を強いている場合もあり得ます。新しい政策や労働手法も十分にこなされないと、両刃の剣となり労働者の健康や生活を害する可能性が大きいと思います。 過労による労災では、最大の要因として長時間労働があげられますが、それだけではなく、脳・心血管疾患には交代勤務・深夜勤務、不規則勤務、精神的緊張を伴う業務などが発症要因としてあげられています。精神障害に関しては、仕事内容や量の大きな変化、ハラスメント、上司とのトラブル、悲惨な事故や災害の体験・目撃などが疾病を引き起こす出来事として示されています。共通して言えるのは、仕事に関連して起きる不安・恐怖、不規則な状況が、過労死、過労自殺に結び付いていくことが窺われます。逆に言えば、たまの長時間労働ならば、このような不安や不規則性を生じさせなければ、問題は大きくならないといえます。 したがって、過労死や過労自殺を防ぐには、慢性的な長時間労働は問題外ですが、繁忙期などたまさか残業を多くしても、自分自身で仕事がコントロールでき、先々の見込みが予測できれば過労状態のリスクは回避できるわけです。当たり前のことかもしれませんが、過労死、過労自殺防止には、日々の働き方のなかで、極端な無理をせず、メリハリのきいた生活を送ることが重要なのだと思います。 もちろん、このような生活を送るためには、労働者がそういった生活を送れるように、職場自体も変わらなければならないのです。そのためには、職場のメンバーで、折々に、仕事の場の安全や健康について話し合う機会を作ってほしいと切に希望します。仕事についての話し合いは当然される訳ですが、ときには職場で安全衛生リスクなどの話し合いも行ってほしいものです。安全衛生リスクに対する検討・対策活動を実践することは、働く場の雰囲気をよくしていきますし、そのことを通じた健康保持増進活動が職場の安全衛生にとって重要なことだと思っています。24

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