幸友21
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という方向を目指すことになったわけです。そして本学が考える人間力が、今お二方がおっしゃっていたことと共通点が多いと感じました。江﨑 とかく社会人になると、学生時代にもっと学んでおけばよかった、あらためて勉強し直したいと感じることが多いですが、学生の間に教育で人間力を身に付けることができれば素晴らしいと思います。石原 大津社長が先ほど学力の低下に触れられましたが、大学に入学するときに、知識を競うことに精一杯で何のために勉強するかを考えずにきたことが、人間力が育たない一因だと思います。そこであえて「創成」という言葉を選びました。もう一つ、いろいろなことに興味を持つという考えは、まさにセンターの根幹です。そこで今、キリックスさんのマークの話を聞きながら、本学の学章を見ていました。これは中部工業大学の開学時につくられたものですが、工業大学とは書いていません。総合大学としての教養を身に付けた学生を社会に送り出すことを見据えていたのでしょう。また、「學」の文字は、人が建物の中で学ぶ様子を表し、無限の可能性を表す「X」も入っています。さらに、CHUBUのCUの間には「HUB」があります。HUBとは物事の中心の意味です。こうしてマークを見ながらいろいろな話ができるわけです。創立者の三浦幸平先生は、「私学でこそ真の教育ができる」と言われました。私学としてのユニークな理念を重んじて、自分が面白いと思うものを生み出す雰囲気をつくることが教育だと。則ち、一人ひとりの個性を重んじた教育こそが人間力創成につながると思っています。山口 三浦幸平先生の「そこには魂がなければならない」という考え方は素晴らしいですし、これからの時代に必要だと思います。人間力を創成していただくことに対する期待も大きいですね。また、先般北海道で大きな地震がありましたが、トヨタグループの各社が、競合するライバル会社を社員総出で応援しに行くということがありました。そうした心が通うアナログな世界も大事にしてほしいと思っています。そういうことをいかに授業や学生生活の中で感じてもらえるか、コツコツと努力を積み重ねる、一度決めたことはあきらめずに頑張る、そういうものを感じたり、教えたり、経験させたりするチャンスはたくさんつくれると思います。江﨑 大津社長は今の話で共感することはありますか?大津 「私学だからできる」という話は、そう思います。型にとらわれて言われたことしかできない、いざというときに役に立たないでは困りますし、あの人に頼めば何とかしてくれるという能力は、実は知識だけではなくマインドの部分でも必要だろうと思います。それはまさに建学の精神、「あてになる人間」だと思います。先般、夜中の12時頃にお客様の工場の電気が止まり、担当している社員の携帯に連絡がありました。これは大変だということで、その社員は自分の判断で現場に駆けつけて対応しました。多分、お客様特集スペシャル座談会企業が求める人材像と中部大学が考える人間力創成教育08

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