幸友21
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ときに出てきたのがキリンです。創業以来、「誠心・誠意・誠実」の三誠の精神を基本としてきましたから、おとなしくて誠実な動物であるキリンが一番相応しいということで、その創業の精神を未来永劫持ち続ける意味から、無限を表す「X」を組み合わせました。つまり、「お客様に誠実に接する」、この原点こそが一番大事で、その意味でも人の基軸として、八徳(信、義、誠、仁、忠、勇、礼、恥)を身に付けさせることに全力をあげています。また、もう一つは、自分たちがお客様を大事にして売上を伸ばし利益を上げていく意味をしっかりと理解させること。それができれば、後は自ら考えて工夫しながら仕事に取り組んでいけます。ですから原点はあくまでも「人間としての基軸」なのです。新入社員に挨拶を教えることがありますが、かなりの時間がかかります。しかし、人としての基本を身に付けてこそ、その先の技術が生きてきます。時代の変化はありますが、昨今のようにAIの技術が進めば進むほど、コントロールして動かす人、開発する人に「人間としてのあるべき姿」をきちんと教えていくことが大事だと思います。専門教育も大事ですが、基本の大切さをもっと強調していただきたいと強く感じます。江﨑 人としての基本は、単なる知識として教え込むのではなく、自分はどう生きていきたいのか、学生にはこの原点をいかに考えてもらうかが大事ということですね。山口 そうです。大学は学生にさまざまな選択肢を見せて、どの分野に志を持って進めるかを方向付けていると思いますが、最近ソフトバンクの孫氏が、一人ひとりが思い描くのが「夢」であり、その自分の夢と大勢の人の思いや夢を叶えていくところに「志」が存在していると言っていました。つまり、世の中に貢献する、あるいはいろいろな人の思いを実現するために志を持って仕事をする、そういう物の見方や考え方こそ、しっかり教えておいていただけるといいと思います。江﨑 ありがとうございます。大津社長は、先ほど会社の代表として、利害がある人たちともしっかりコミュニケーションを図る力が求められるとおっしゃいましたが、こういった点で見たときに、学生時代にしておいてほしいことはどんなことでしょうか。大津 専門的な知識を大学で学ぶことは貴重な機会ですので、その教育はぜひお願いします。ただ一方では、やはり会社の代表としてコミュニケーションを図っていくためには、総合的な知識・能力が必要だろうと思います。山口会長も言われた礼節などの基本もそうですが、挨拶ができない人が会社の代表は務まりません。これは大学にお願いするというよりは家庭教育、むしろ我々のような親世代に問題があるかもしれません。また、採用試験を行幅広くいろいろなことに好奇心を持って触れてほしい。特集スペシャル座談会企業が求める人材像と中部大学が考える人間力創成教育川北電気工業株式会社代表取締役社長 おおつ  まさみ大津 正己氏川北電気工業株式会社明治42年創業の川北電気企業社から川北電気株式会社を経て、昭和14年に川北電気工業株式会社として独立。東海エリアの老舗企業として、電気工事事業のあらゆる分野に携わる。中部大学を始め、ナゴヤドームやJRセントラルタワーズ、名古屋市科学館のプラネタリウムなど、地域のランドマークとなる建物の施工を多く手掛けている。06

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