幸友21
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 最近のスポーツ界では暴力、パワハラ問題の不祥事が噴出しています。これは指導者による勝利至上主義、同調圧力、洗脳的指導、支配から起こるものです。スポーツとは本来楽しむべきものであり、部活動は教育の一環のはずですが、勝利至上主義による過剰な指導が横行しています。指導者は選手のためを思い、愛情と情熱をもって鉄拳制裁を下す。結果がでると、自分が絶対者として権力を振りかざし、一方の選手は指導者を盲目的に信じ、勝利のために理不尽を受け入れる。こうして師弟関係が生まれ、昭和時代の絶対服従、根性論、愛の鞭、精神力を強いられながら洗脳されていくのです。 洗脳が組織に浸透するなか、一人でも組織の価値観を否定すると同調圧力が増幅され、選手は自己主張を放棄します。これでは個の尊厳までもが抑圧されかねません。これは子育てにも似ています。親は子どもの成長を願うあまり、厳しくも愛情をもって手を挙げます。子どもを思う暴力は愛情表現とされ、暴力を受ける子どもは親の期待に応えたい一心で理不尽から抜け出せなくなります。親の躾とスポーツ界の指導は、根っこの部分では同じなのです。 民主国家である日本の法律では、全ての暴力は刑事犯罪と認定される一方で、一部のスポーツ界や学校の部活動では黙認されてきました。しかし最近、昭和の根性論に異論を唱える人が増えています。どんな形であれ暴力はあってはならないし、科学的根拠のない指導や根性論は排除されるべきです。東京五輪を目前にスポーツ界は、昭和時代の根性論を負の遺産として、今の時代にあった教育を再考すべきです。時代の変化と共に、求められる人材、資質、能力が激変する中、真に若者の活躍と成長を願うなら、自らを謙虚に見つめ直し、物の道理を見極め、学び続ける事が大切なのではないでしょうか。 昨年12月、創業70周年を迎えた丸丹スポーツ用品株式会社の三代目として代表取締役に就任いたしました。 三代目としての私の役目は、戦後、焼け野原と化した名古屋で青少年育成のためにスポーツ用品の販売を始めた創業者の想いと、その意思を引き継ぎ会社を存続させてきた二代目(現取締役会長)の想いを心に刻み、30年後には100周年を迎えられるよう、時代の変化に対応し、社員とその家族の心身の健康と幸せを第一に考え、顧客・取引先と共に、スポーツを通じて、地域の皆様に「勇気」「活力」「笑顔」をお届けしていくことだと考えています。 2020年には東京オリンピック・パラリンピックがこの日本で開催されます。スポーツ業界に身を置く当社としましては、この世界の祭典を通じて、スポーツをより多くの人に、より身近なものに感じてもらい、幸せに健康な暮らしができる環境を作り、今後の日本(地域)の発展に貢献していければと思っています。 個人的には、50歳(現在46歳)までに40歳ではじめたマラソンで、サブ3.5(フルマラソン42.195㎞を3時間30分未満で完走する)を達成することと、世界6大メジャーマラソン(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)のうち最低1大会に参加することが目標です。愛情と暴力~時代遅れの根性論~三代目として丸丹スポーツ用品株式会社代表取締役 ふじもと ただし藤本 忠株式会社池下設計名古屋支店長 むらた たかお村田 隆生40

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