幸友21
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生物が生きる上で欠かせない水。特に水を管理して暮らす人間にとって、健全な水を確保し、適切に管理して健全性を保つことは極めて重要な課題です。そこで、水の管理に関する中部大学の研究を紹介しました。愛知県の産業構造の弱点は、自動車製造と関連産業への過剰依存です。その克服のために重層的多角的産業構造を目指そうと、中部大学では第一次産業を含む食品供給産業の強化と人材育成を進めています。※六次産業=生産(一次産業)・加工(二次産業)・流通販売(三次産業)を一体化した農林漁業の新たな展開(政府広報オンラインから)会場:体育館ミニ講演会これまで自然に行われてきた地球の水循環。しかし現代では、市街化した都市部で健全な水循環が行われず、大雨による浸水の頻発、都市河川等の水質汚濁、さらにはヒートアイランド化などの問題が生じています。松尾教授は名古屋市の「水循環の再構築」の取り組みを例に挙げ、健全な水循環に戻すためには「浸透・貯留量を増やすこと」「緑を増やすこと」「身近な取り組みを実践すること」の3点が重要であると説明。それぞれ具体的な策と効果を紹介し、「雨水利用など各家庭でもできることはある」と発信しました。都市における健全な水循環の再構築工学部長、工学部・都市建設工学科 教授 松尾 直規演題1中部大学は植物食材の生産設備である植物工場と試験農場、食品加工モデルプラント、給食実習施設、分子栄養基礎科学研究施設が揃い、第一次、第二次、第三次産業に対応する設備が整っています。講演では、写真を交えながら各設備を詳しく紹介し、その環境を活かした大学の研究内容を説明。「食品産業に関わるということは、地球規模の課題を背負うことでもある。学生とともにさまざまな課題に向き合い、中部大学として六次産業を担う人材を輩出していきたい」と研究への想いを述べられました。中部大学における六次産業教育研究モデルの概要応用生物学部・生物機能開発研究所 客員教授 横山 信治演題1下水処理の過程では「活性汚泥」として多様な微生物が活躍しています。福田教授は、家庭の下水処理の仕組みをイラストで説明し、工程の一部である「活性汚泥」についてピックアップ。活性汚泥を構成する微生物の種類や特長、それぞれの働きなどについて解説しました。また、環境汚染の浄化に微生物が使われた例として、東京の豊洲市場を話題にし、「豊洲市場のように微生物を使って浄化する『バイオレメディエーション』は、特に地下に広がった汚染に有効で、今後の利用拡大が期待されている」と紹介しました。微生物を利用した水の保全応用生物学部長、応用生物学部・食品栄養科学科 教授 福田 雅夫演題2世界30ヵ国以上で食されているサボテン。栄養面など優れた特長から、近年ではFAO※が食用サボテンの消費を推奨するなど注目を浴びています。堀部講師は「非常に強い耐熱性と耐乾性を持ち、重金属などの有害物質に対する耐性もあるサボテン。そのメカニズムを解明することは環境問題の解決につながる」とし、中部大学の植物工場で研究中のサボテンの水耕栽培の様子を紹介。「サボテンは産業的価値と科学的価値を備えた作物。大学にもさまざまな利益をもたらす可能性を秘めている」と締めくくりました。※FAO/国際連合食糧農業機関食材としてのサボテンの開発応用生物学部・環境生物科学科 講師 堀部 貴紀演題2水の管理と保全大学における六次産業研究と中部地区の産業構造の転換テーマ2テーマ136

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