幸友21
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 就職活動時期は、ここ4年くらいさまざまな形で議論されてきました。その中で本学は、社会が求める人物像の変化に合わせた教育や人材育成を行うことを前提としながら、学業に集中できる時間を確保するために、一貫してスケジュールの後ろ倒しを望んできました。今回の指針廃止決定にあたっても、経団連会長が言う「就活ルールを経団連が決めることはおかしい」という点は理解できますし、今後は政府主導のもとで、大学と経済界が統一見解をつくっていくことはある意味自然な流れだと思います。ただ、雇用においては、企業がきちんと採用をしていくために、今回の決定によって、広い意味で大企業、中小企業ともに良い方向に進むことを願っています。 一方、新卒一括採用から通年採用へ切り替える企業が出始めている中、企業側の立場で考えますと、採用活動の着地点は内定を出した学生から受諾を得ることでしょう。その点からすれば、1、2年次の学生を追いかけて受諾に結び付けるのは難しく、やはり3、4年次の学生が中心になってくると思います。たとえ4年生であっても3、4月に内々定をもらってすぐに承諾できる学生がなかなかいないのも事実です。ただそうした動きの中で懸念するのは、キャリア教育と就職活動の切り分けです。現状では、早期からインターンシップに参加する学生が増えていますが、それが企業のPRだったり、もっと言えば事実上の選考につながっていたりするケースがあります。そのように企業側が採用したい思いで1、2年生と接触を続けることがある以上、私たちが目指す本来のキャリア教育とどれだけ切り離せるのか心配ではあります。今後はより低学年次の学生にアプローチをかける企業が多くなり、学生をつなぎとめることも出てくるかもしれません。ただ学生は学びたい学問があって学部学科を選んで入学しているので、専門性を一生懸命学ぶことで初めて視野が広がっていくこともあります。学生生活を通して考え方や人間力を磨き、充実した4年間を過ごしてほしいです。社会が求める人材を目指すからこそ学業に専念する時間が必要。2018年10月、経団連は、企業の採用面接の解禁日などを定めた指針を2021年春入社以降の学生(現在の大学2年生)から廃止することを正式に決めました。ここ数年、度重なるルール変更の中で戸惑いながらも就職活動を進めてきた学生たちは今後、政府が主導する新たなルールのもとで行うことになりそうです。取材日:2018年10月11日話し手:中部大学キャリア支援課長 渡邉真和氏就職レポート2018就活ルールが廃止されても 変わらない大学としての思い。29

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