幸友21
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7学部と大学院6研究科を擁する総合大学として知的資産を集積する中部大学。さまざまな学問分野を網羅する数多くの研究室から、今回も4つの研究室を訪問しました。産官学連携あるいは事業化等にぜひご活用ください。 人口減少社会の到来や急速に進む少子高齢化。都市計画の成功には、時代に合った確かな取り組みが不可欠と言えるでしょう。大塚教授が進めている研究は、「都市とまちづくり」について。コンサルタント会社での勤務時代から進めてきた、都市で起こっている現象の解明、また問題があればその原因を探り、よりよいまちづくりの方策の検討を都市地理学的な観点から行っています。「都市の中心部は空洞化が進み、郊外では空き家の問題が表面化。ただ、郊外では新しい住宅が建つなど明るい動きもあります。郊外は今後本当に衰退していくのか、郊外の今とこれからを研究しながら、その実態を明らかにすることで政策的な提言ができると思っています」。大塚教授の現在の調査研究対象エリアは名古屋大都市圏北東部。量的なデータはアンケートで収集し、詳しい実態を把握するためには個別で聞き取り調査を行うなど、行政の調査結果も使いながら分析・解析を進めています。 ある地域で得られた結果が他の地域にも当てはまるのか、地域を変えながら調査を行う実証研究が大塚教授の研究スタイル。「仮説を証明するためのデータが得られたり、そこから新しい発見をしたりして、次にどのような点から調査研究をすればよいのかが見えた瞬間が大きな喜びです。そうした発見の源はやはり現地の方々の生の声にあります」と言うように、実際にその場を見ながら人の話を直接聞くことが創造力の原点だとのこと。また、“都市は生き物”と表現する大塚教授は、「何が原因で都市が成長するのか、あるいは衰退するのかを見つけること。人間と同じように調子が悪いと思ったら、なぜ悪いのかを解明して対処していくことが大切」と言います。かつての住宅双六のように、郊外の戸建て住宅が必ずしも終の棲家ではない時代。親が入所する介護施設の場所が子世帯の居住地に影響するのも、昨今の高齢化社会ならではというように、時代の変化とともにその姿を変えていく都市。都市の調査研究に終わりはありません。人文学部 歴史地理学科 大塚 俊幸教授住みやすく、より魅力のあるまちづくりのために。小牧市の巡回バスについて行った聞き取り調査の様子。実態を解明し、都市や郊外の今後を考える。都市は生き物。時代とともに姿を変える都市。都市問題、都市構造、都市再生都市地理学、都市政策おおつか としゆき研究テーマ専門分野すごろく18

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