幸友21
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鎌田 敏行(かまだ としゆき)氏/1949年埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。1974年慶應義塾大学経済学部を卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。食料開発室外食産業チーム長、イスラエル・テルアビブ事務所長などを経て、2007年株式会社サガミチェーン(現サガミホールディングス)に出向。翌年、伊藤忠商事を退職。取締役、常務取締役を経て2011年代表取締役社長に就任。2017年より現職。 学生時代、イスラエルに住んだ時のこと、私は初代首相だったベングリオン氏から直筆で書付をいただく貴重な経験を得ました。そんな出会いもあって一遍にイスラエルが好きになり、商社に入社後、もしイスラエルに拠点をつくるなら最初に行きたいと言い続けました。この格言は、その念願かなった45歳の私がイスラエルで出合った言葉です。ヘブライ語の頭文字で、意味は「if you will, it is no legend.(もしあなたが望むなら、それはお伽噺ではない)」というもの。この言葉の発端は、1894年のドレフュス事件に遡ります。フランス陸軍大尉だったユダヤ人のアルフレッド・ドレフュスがドイツに情報を流したというスパイ容疑で逮捕された冤罪事件。その事件を取材していたオーストリアの新聞記者テオドール・ヘルツルによる、ユダヤ人の国家建設に繋がる著書「古く新しい国」の冒頭に書かれている言葉でした。現地では誰でも知っている言葉だということを知り、深い感銘を受けました。 その後、現在の会社にご縁があり、商社は退社しましたが、その言葉は今もなお重大な決断の時に自らに言い聞かせています。2011年、8年間で黒字計上が一度だけという厳しい経営環境の中、私は社長に就任。そこで宣言したのがV字回復です。それこそ、2000年もの間、「流浪の民」だった民族が国家を復活させたことを思えば、業務上の決断でいかに難しい環境下でもできないはずはない、と確信と勇気を与えてくれました。同時に、それを達成するための方策を綿密に立てること、動きをうねりにまで高めることの重要性を再認識して全力傾注。そうして大改革を断行した結果、初年度に営業黒字化、2年目には「和食麺処サガミ」全店の店舗損益の黒字化を達成し、復配しました。 当社は今年10月、ホールディングス体制に移行し、新たな経営理念を策定しました。『私たちは、「食」と「職」の楽しさを創造し、地域社会に貢献します~すべては みんなのゆたかさと笑顔のために~』です。来年は創業50年となりますので、この理念のもと、グループビジョンである「No.1 Noodle Restaurant Company」を体現する、「100年企業」を目指しています。勇気をもらえるだけでなく、何をすべきかも再認識できる。株式会社サガミホールディングス代表取締役会長 兼 CEO「ITEZA」メーカー機能と商社機能を併せ持つ独創的企業「ナ・デックス」。「食」と「職」の楽しさを創造し、地域社会に貢献する「サガミホールディングス」。今年新たに策定した理念のもとで、成長・発展を目指すおふたりの企業経営者にお話をお聞きしました。とぎばなし12

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