幸友21
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 当社のようにモノづくり企業をお客様として、モノやサービスを提供している企業にとって、会社を成長させる最も大切なファクターは何か。企業経営に携わる立場になった時、あらためて自問自答したことがありました。 学生時代、大学祭実行委員会に所属していた私は、1年生ながらも生意気に、「大学祭に学科の研究発表展がないのはおかしい」と、発表展の企画を提案しました。賛同が得られず反対の声もありましたが、応援してくださる先生や先輩のもとで学科の主任教授を説得して回り、最終的には研究発表展の開催を認めてもらえることができました。また社会人になってからも、自分の過去の仕事を振り返った時、お客様や会社の仲間など、周囲の人々が私に信頼を寄せてくださった結果として成功した仕事が数多くありました。「なぜ私は信頼してもらえたのか」。そう考えた時、がむしゃらに頑張っていた自らの姿と、そこに「安全・安心」を与えるような仕事を意識して行っていたことに気付きました。「コイツに頼めばなんとかしてくれる」、「安全に確実にやってくれる」。それは、高い買い物をする時に、「この人なら万一失敗したとしても諦められる」、「この人から買いたい」と思えることがあるような気持ちに近いかもしれません。つまり、お客様から安心されるように努めて、安心される存在になった時に初めて仕事をまかせてくださると思うのです。 当社は、今年7月に「中期経営コンセプト」を開示し、その中の「経営基本方針」で、“「安心をつなぐ」企業グループへ”というメインテーマを掲げました。社会、株主・投資家の皆様、仕入先を含む取引先の皆様、そして社員、いわば当社を取り巻くすべての皆様に、当社は「安心」を提供できる会社でありたいという社員全員の思いを込めて表明しました。 昨今は混迷の時代、だからこそ、「安全・安心」は相互信頼の礎です。そのような基本的な理念をベースに、今後も会社とともに自身も成長させていきたいと思っています。がむしゃらな姿の先にある安全・安心が信頼につながる。「人が好んで党派に くみするようになるのは、 たとえ安息はなくとも、 安心と安全が見出されるからである。」                        ゲーテ「格言と反省」より企業人の格言企業のトップが語る人生訓Vol.12髙田 寿之(たかだ としゆき)氏/1962年愛知県名古屋市生まれ。1984年中部工業大学(現中部大学)工学部電子工学科卒業、同年、株式会社名古屋電元社(現ナ・デックス)入社。2005年機械部長、2010年執行役員機械部長、2011年4月執行役員FA一部長を歴任し、同年7月那電久寿機器(上海)有限公司董事長、取締役就任。2015年7月より代表取締役社長。株式会社ナ・デックス代表取締役社長11

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