幸友21
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はこの人に相談したらなんとかしてくれると思ったのでしょう。ただ、社員のそうした対応は教科書には載っていません。では、そういう人間をどこで育てていくのか、それは当然企業でも育てていかなくてはなりません。先の八徳のように、繰り返し企業でも教えていかないと、そういう人間には育っていかないでしょう。ただ、その素養や人間力をどの場面で身に付けてもらうか、それはやはり学生時代の間に教育していただくのがよいと思います。江﨑 技術はどんどん進化していきますが、ベースとなる人間力は普遍であり、本物であり続けないといけないということですね。江﨑 では最後に、今後、企業と大学が世の中に貢献できる人材を連携して生み出していくことを考えたときに、お互いに期待することについて教えてください。石原 以前、入学試験当日の早朝に本学で停電が起きたことがあります。10時の開始に向けてどうするかを決断しなくてはならないときに、川北電気さんにすぐに対応していただき、助けていただきました。これはまさに、「あてになる人間」が、実際に企業から示された瞬間だったと思います。あてになる人間は、日頃からの積み重ね、歴史の中にあると感じました。学生には、企業へ入社するからには、一人ひとりが中部大学の代表であり企業の代表だという気持ちで、まさに「あてになる人間」に育ってほしいと思っています。また、企業の皆様にも、たとえ卒業生が転職したとしても、中部大学ファミリーとして一度接点を持ったのであれば、就職だけでなく、引き続きそのご縁を深めていただけるような末永いお付き合いをお願いします。杉本 一見、企業は利益を追求する集団で、大学は人を教育する機関に見えますが、企業も人を育てる、人を育てなければならないというところに非常に力を入れていると感じました。その点では大学との共通点がたくさんあり、連携できることも多いと思います。学生が、企業の方と接する場面はインターンシップや就職活動になると思いますが、内定獲得という目の前の目標が大きいがゆえに、彼らは企業の一部分しか見えていないような気がします。仕事内容や収入、勤務条件などに目が行ってしまって、そこで自分はどういう人間になっていくのかまでは思いが及ばないかもしれません。今後企業との連携ができると考えると、人としてどのように成長できるかということについて企業の方からもメッセージをいただきたいですし、そういう機会を本学でもつくりたいと考えています。大津 当社では毎年4月1日に入社式を行います。その翌日に私は新入社員を集めて話をするのですが、そこで彼らに、「働くこと」について問いかけます。皆さんからの意見を聞いた後、私は三つの考えを話します。一つ目は当然ですが、生きていくためにお金を稼ぐということ。二つ目は、22年間学んできたものや自分の引き出しの中に入っているものを使って社会貢献していくということ。もう一つは、自分の引き出しの中に、ガラクタか宝石かわからないけれど、企業人として別のファク企業と大学が連携してできること知識を授ける教育から才能を見つけて伸ばす教育へ。中部大学学長・教授 いしはら  おさむ石原 修氏09

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