幸友20
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してくれる学生が少ないという話を聞きます。今、商工会議所では、雇用に関する委員会で雇用確保のためにどうすべきかを論議しており、今年度は重点項目に「既卒者支援」を挙げています。3年以内で辞めた人が転職サイトで就職するのではなく、地元に戻れる体制の確立を検討しています。たとえば東京や大阪で働いてきた人が、地元に戻りたいと思ったときに地元で就職できるような仕組みです。現在、おそらくどこの大学も離職した人に対する支援はあまりしていないはずです。石原学長が「中部大学ファミリーの結びつきを大事にしたい」と言われているように、卒業生を大事にする意味でも、これからは大学も離職した卒業生のフォローをしていくべきだと考えます。少子化の影響で大学間競争が激しくなりますので、長い目で見て、商工会議所の主導ではなく、幸友会としても既卒者支援を推進していく必要があるように思います。杉本 実は、かなり前からキャリア支援課では、離職した既卒者の支援もしていますが、なかなか大学に来てもらえません。来てくれさえすれば支援できると思います。大学も同窓会も卒業生の状況を掴みきれていないようです。今後は同窓会にも媒介となっていただきながら、卒業生が同窓会に相談する、すると同窓会が幸友会に相談して、幸友会の会員企業に声をかける、あるいは春日井商工会議所に相談して商工会議所の会員企業に卒業生を紹介する。このように大学や同窓会が媒介となっていくことが重要かと思います。本学の教育戦略会議では、卒業生が卒業後に最初の就職先からどれくらい離職しているかの調査から始めようと、キャリア支援課を中心に卒業生にアンケートをとって実態を把握する計画を立てています。その結果を見ながらキャリア支援課でどう対策をとるのか、あるいは各学科にどんな協力をお願いするかを考えていこうと思っています。大西 先般ある女子大を訪問しましたが、その大学は「入学前教育から卒業後の育児支援まで」ということを打ち出していました。入学する学生にとっては、卒業後いつでも頼れる大学であるということが一つのブランドになっているのです。卒業生が母校へ相談に来ないのは、情報を持っていないだけでなく、学生自身が、大学が卒業後も頼れる存在であるという認識を持っていないことがあると思います。さて、ここではもう一つ、働き方改革、いわゆる長時間労働の問題が社会を賑わせていますが、学生の価値観の変化や、企業の取り組み状況についてお聞かせください。山田 国と同様、日本商工会議所では、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践する「健康経営」を促進しています。大手企業はこれに早めに対応し、学生も就職活動の際に健康経営企業のリストから選ぶことがあると聞きます。残業の問題もありますが、企業が健康経営、まさに健全な経営をアピールしていることを国も推奨していて、そうしたホワイト企業としてのアピールが雇用につながっていると思います。大西 企業の立場としてはいかがでしょうか。加藤 学生を採用する際、会社説明「大学が情報媒介になるために、 卒業生の実態の把握に注力。」中部大学 副学長・教授 すぎもと  かずひろ    杉本 和弘氏07

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