幸友20
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中部大学研究支援課では、企業の皆様のニーズに応じて、関連分野の研究者を紹介しています。共同研究や委託研究など、研究支援の相談窓口としてお気軽にご相談ください。[幸友会事務局]0568-51-4852(直通)幸友会事務局を介したご相談も承っております。研究支援課0568-51-4740(直通) 今年5月、澤本光男教授は、米国のフランクリン協会からベンジャミン・フランクリン・メダル(化学部門)を授与されました。教授の長年の研究テーマは「高分子合成」。なかでも機能性高分子の精密合成の研究に取り組んできました。「ポリマー(高分子)のつくり方は、出発物質であるモノマー(単量体)を並べて、たとえるなら真珠のネックレスのように鎖をつなげていくことです」と言うように、数千から数百万の分子量で構成される巨大分子がポリマー。プラスチックやゴムなどの素材としても使われる、私たちの生活に欠かせない存在でもあります。1930年代、石油化学工業が発展し、ナイロンやポリエチレンなどの汎用高分子材料が誕生しました。しかし、膨大な回数の化学反応を繰り返すうちに、副反応として鎖の端に不純物が付いたり、反応が止まったりして大きさにバラつきがありました。そこで澤本教授により開発されたのが、ある触媒を使って反応を正確に制御すること。この精密重合により、大きさが均一なポリマーの合成に成功したのです。この精密重合は世界初の発見として、高分子合成の発展に大きく貢献しました。 この精密重合によって、先端技術に必要な高分子材料と期待される多くの機能性高分子の精密合成法を開拓した澤本教授。「機能性基の並び方を制御できれば、材料に新たな機能の創出が期待できます。たとえばフォトレジストは電子回路板の材料に使われていますが、このように精密重合でしか実現できない材料があります」と言うように、ほかにもインクジェットの分散剤やタイヤの性能向上などがあげられます。ただ澤本教授が今関心を持っているのは、生命の起源だと言います。「モノマーを精密に並べることができるようになった今、自然界でつくられたポリマーと同じように並べたときにどのような違いが生まれるのかとても興味があります。なぜ私たち人間がこの世界に生きているのかがわかるかもしれません」。この壮大なテーマの挑戦に、熱い研究者魂が垣間見えました。総合工学研究所さわもと みつお      澤本 光男教授機能性高分子の精密合成で、新たな材料の創成に貢献。片末端官能性高分子両末端官能性高分子ABブロックコポリマーABAブロックコポリマーグラフトポリマー星型(スター)ポリマー梯子型(ラダー)ポリマー構造名称予想される用途分散剤、マクロモノマー液状ゴム、架橋剤分散剤、相溶化剤熱可塑性ゴム(エラストマー)ゴム、接着剤粘度調節剤、樹脂補強剤耐熱性樹脂、機能性膜、ゴム■精密重合による精密高分子:可能性と期待される機能研究テーマ専門分野高分子化学精密重合の先駆的開発と機能性高分子の精密合成の確立高分子化学精密な制御で新たな材料の創出が可能に。長年の課題だったモノマーの正確な配列制御に成功。22

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