幸友20
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 地球温暖化の影響で、世界的に落雷の発生件数が増えていることを示すデータがあります。また、私たちの身の回りに増え続けているのが電気製品や電子機器の数々。機械式だった自動車も、いまや衝突回避機能や自動運転など電子制御化が進んでいます。そこで山本和男准教授が取り組んでいる研究は、さまざまな施設・設備の雷害対策。「雷に脆弱な機器をいかに雷から保護して壊れにくくするか。あるいは、たとえ壊れたとしても安全側に停止するような仕組みをどう構築するかを研究しています」。その研究対象は電力設備、自動車、鉄道など多彩で、以前は国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の耐雷対策にも携わったという山本准教授。しかし、社会貢献的なこれらの研究に取り組む一方で、子どもたちへ雷について教えたり、そのことで子どもたちが雷に興味を持ってくれたりすることに大きな喜びを感じるそうです。 落雷の発生件数の増加傾向は日本も同様で、特に日本海沿岸での冬の雷は、世界でも有数なエネルギーを持つ雷としても知られています。風力発電を設置して効率良く発電するには、風が強い場所が条件の一つですが、荒天になるリスクがあり落雷の対策が欠かせません。「通常、風力発電用風車にはレセプタ(受雷部)がついた3枚のブレードがあり、風車の中にはダウンコンダクタと呼ばれる雷の電流を大地まで導く通路が設けられています。ところが、予期せぬ箇所に落ちるとブレードが割けてしまうことがあり、割けたまま回転が続くと破片が飛散し二次災害につながりかねません。そこで被害を軽減するために風車自体の耐雷性能を向上させること、またそのためのセンサの開発や評価も行っています」。現在は、学内に導入した大電流発生装置でブレードに電流を流す実験を進行中。ゆくゆくはコンデンサバンクを増やし、発生装置の電流量を上げて、自動車を対象とした実験も行ってみたいと話す山本准教授。世の中のさまざまな設備・製品の雷害対策が進むことが期待されます。工学部 電気システム工学科やまもと      かずお       山本 和男准教授さまざまな施設・設備機器を落雷の被害から守る。NEDOの支援を受けて、企業と共同で開発した大電流発生装置。研究テーマ専門分野電力工学、高電圧工学各種設備の雷害対策、航空機・自動車・鉄道システムの雷害対策電力工学大電流発生装置で実験し、耐雷性能の向上を目指す。電子制御化の進展と求められる雷害対策。19

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