幸友20
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るのは、昔の日本的経営の良さの表れである一方、“ブラック”という言葉が出てくるようになった背景には、働き方との関わりがあるようにも思います。大西 18歳人口の減少に伴い、大学が社会に輩出する新卒の数は減っていきます。一方、企業も既卒者採用に対して否定的な考えがなくなってきている昨今、第二新卒の数は増えていくことが予想されます。そこで今日お集まりの皆様が、この現象に連携して取り組む可能性についてはいかがでしょうか。村松 統計的には全卒業生の約半数が同窓会に入会しており、授業料と一緒に任意で会費納入をお願いしてからは、入会率は増えています。そのため卒業生はじめ第二新卒の皆さんも同窓会の存在を認識していると思います。ただ、同窓会は同窓生に何をしてくれるのかという点ではアピールできることが少ないのも事実で、目玉となる内容をつくる必要性を感じています。石原学長が中部大学ファミリーとおっしゃるように、同窓生76500人も大きなファミリーです。卒業生の中には、いま転職で悩んでいる方がいるかもしれません。そういう方に、「何か困ったことがあったら相談してください」、「同窓会は幸友会の会員企業800社とのネットワークにもつながっており、地元企業への再就職について橋渡しできます」と、同窓会の事業の一つとして明記できれば、同窓会員の大きなメリットになると思います。しかし、安易に転職してもらっては困りますから、実現するには登録の審査や選別といった課題もあると思います。大西 先ほど、山田さんから大学に、新卒だけでなく既卒者に対する支援もお願いしたいとありましたが、幸友会や同窓会を含めたネットワークに提言はありますか。山田 商工会議所の4300の会員のためはもちろんですが、東海3県を中心に広がる幸友会会員企業約800社のネットワークを活用できる仕組みもつくっていく必要があると思います。中部大学は地域の大学であり、地域を大事にしている大学です。おそらく卒業生の出身はこの中部エリアが多いでしょう。そのような卒業生が、たまたま就職で東京や大阪へ出ているけれど、地元に戻りたいと思ったとき、地元で就職できる場をつくりたい。それが地域の活性化になり、地元企業もそれを求めているのではないかということが、既卒者を支援しようという発想の原点でした。また、商工会議所としてできることもあります。離職された方や家庭に入っている方が、もう一度社会に出ていくための教育訓練を行う助成制度である国の「ジョブ・カード制度」の窓口を商工会議所がしています。企業で働く前に学ぶことで、自分の能力を高めることができ、企業も本人も国から補助金をもらえる上に、自分にマッチした就職ができるという制度を、この既卒者支援に組み込めると思います。たとえば卒業生が地元に戻ってくるときに、母校の中部大学に相談するけれど、企業に即入社するのではなく、ジョブ・カードを活用してキャリアアップをすれば、企業も受け入れやすくなるわけです。このような産官学が連携した既卒者支援ができれば、自分にあった企業、あるいは地元の企業へのスムーズな入社につながると考えています。大西 まさに本学が春日井という地域で非常に大事にされ、頼りにされている大学だからこそできることがあるということですね。ジョブ・カード制度の話が出ましたが、単に就職Chapter3卒業生を支援するための可能性を探る09

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