幸友19
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中部大学フェア—人づくり・モノづくり・コトづくり・夢づくり—2016年9月15日(木)、今年で第12回目を迎える「中部大学フェア」が開催されました。今回は「中部大学ワイン・日本酒プロジェクト」として中部大学のお酒が完成したことに関連し、日本有数の微生物学者をはじめ、プロジェクトに関わった方々の講演会を実施。ほかにも研究シーズ発表や施設見学会を行い、中部大学と企業、自治体、地域団体の皆様、学生が、知的財産の交流を図りました。 健康・医療、食品、環境・エネルギーなど、暮らしに深く根付いている「バイオテクノロジー」。今回は、その鍵を握る“微生物”を専門にされている清水氏をお招きし、微生物が持つ可能性や未来についてお話しいただきました。 バイオテクノロジーという言葉は1970年代から使われ始めた言葉ですが、技術そのものは古代から存在しています。清水氏は、紀元前からつくられていたワインのアルコール発酵やお酢の酢酸発酵の仕組みを丁寧に紹介。さらにチーズの例を挙げ、「チーズも偶然の産物。20世紀までは子牛の胃袋に存在する酵素を利用し、ミルクを固まらせるという伝統の製法でつくられていましたが、子牛を殺さなければならず非常に高価でした」と語り、それなら微生物で同じ働きをする酵素を見つけて使用すれば、牛を殺さなくて済むのではないかという発想が生まれたといいます。こうして、たんぱく質を分解する『キモシン』と同じ働きをするカビが発見され、チーズづくりが劇的に変化しました。つまり、たった一株のカビの力が、チーズ産業を大きく発展させたのです。こうして“発酵”は私たちの生活に密着しながら発達してきました。 また、清水氏は「日本は微生物の超資源大国であり、日本人は微生物と上手く共存している」と述べ、日本独特の地形や四季によって多様性に富んだ微生物がいること、微生物によるバイオテクノロジーに関しては世界一の先進国であることを力説されました。その利点を活かし、日本では多くの企業が微生物の酵素変換プロセスを使講 師PROFILE[学歴]京都大学大学院 農学研究科 博士課程 農芸化学専攻、農学博士(京都大学)。[職歴]京都大学農学部/京都大学大学院農学研究科教授(1993~2009年)、東レ株式会社 専任理事〈先端融合研究所 所長〉(2009~2012年)、京都学園大学バイオ環境学部 教授(2010~2016年)、京都大学名誉教授、日本農芸化学会 第57代会長(2009~2011年)、一般財団法人 バイオインダストリー協会 代表理事・会長(2015年より)私たちの暮らしを支えるバイオのちから一般財団法人 バイオインダストリー協会 会長 清水 昌氏しみず さかゆ2016会場アクティブホール(不言実行館1階)特別講演演 題39

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