幸友19
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 国によって生活習慣や食文化が異なるように、音楽も異なります。なぜ日本人が西洋音楽を演奏するようになったのか皆さんはご存知でしょうか。薩摩藩とイギリスが戦った薩英戦争、長州藩とイギリス・アメリカ・フランス・オランダの列強四国が戦った馬関戦争で、日本人はヨーロッパやアメリカの強さに非常に驚きました。戦場で列強の軍楽隊が音楽を演奏しているのを目にした薩摩と長州は、戦争に音楽が必要だと考え、軍楽隊を編成しています。幕府が倒れて明治政府が成立すると、音楽を必修授業にしました。つまり、戦争で負けた理由が音楽にあると勘違いしたのです。また、音楽を情操教育としてではなく、強い軍隊を作るためのものだと考え、師範学校の教員を養成する目的で東京音楽学校(現・東京藝術大学)を設立しています。なぜなら、無線機がない時代の戦場では、指令官の側に必ずラッパ士を配置し、音楽で軍隊を動かしていたからです。日本人が西洋音楽を演奏するに至った経緯には、軍隊とラッパそして音楽との切り離せない関係があったのです。 西洋音楽は世界中のあらゆる民族が良いと思う何かを持っています。これこそがグローバル・スタンダードです。クラシック音楽のクラシックは「古典」という意味ではありません。「第一級」「最高水準」「最も優れた」「一流」という意味です。最も優れたファーストクラスの音楽がクラシック音楽なのです。まずはクラシックという言葉の認識を変えてください。ではなぜ、西洋音楽がグローバル・スタンダードになったのでしょうか。 謡曲などの日本の伝統的な音楽を学んだことのある方なら、楽譜がないことに非常に苦労した経験があると思います。口伝で覚えるのはとても大変です。このように、口頭で伝えていくことが常識だった時代、クラシック音楽が楽譜を持ったことは凄いことなのです。また、歌舞伎や能、文楽などの日本の音楽は、メロディーを揃えて演奏・日本人と西洋音楽の関係楽譜の力と和声の発見         さえぐさ     しげあき  作曲家三枝 成彰氏日本交響楽振興財団理事 日本現代音楽協会理事日本作編曲家協会副会長 日本モーツァルト協会理事長東京音楽大学客員教授講師西洋音楽はなぜグローバル・スタンダードになったのか?日時:2016年4月27日(水)16時50分〜会場:名古屋東急ホテル 3階第28期総会講演ダイジェスト37

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