幸友19
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 『レトリックと人生』は、言語学の分野で非常にセンセーショナルな一冊です。私たちは、「君は僕の太陽だ」のようなメタファー(隠喩。「〜のような」などの言い方を用いない喩え)を、文学や詩のためにある表現と考えがちです。ところが、著者のレイコフ氏とジョンソン氏は、私たちが扱う言語表現のほとんどがメタファーであり、メタファーなしには物事を把握できないことを証明してみせました。多くの分析事例の中から、わかりやすい例を挙げると、「明るく挨拶す理系人気が続き、大学再編による人文社会科学部の見直しが進む日本。今、学問とは何か、私たちは何のために学ぶのかが改めて問われています。今回、お話をお聞きしたのは、人文学部の柳谷教授。普段何気なく使っていることばが世界の捉え方にどう関わっているのか、一冊の本の紹介を通して教えていただくと、社会言語学の奥深さが見えてきました。今回のテーマ人文学部コミュニケーション学科大学院国際人間学研究科言語文化専攻 やなぎや けいこ柳谷 啓子教授慶応義塾大学文学部卒業後、アメリカ・ジョージタウン大学大学院へ留学。帰国後、慶応義塾大学大学院文学研究科 英米文学専攻博士課程単位取得満期退学。帝京大学、慶応義塾大学などで教鞭をとり、2003年中部大学へ赴任。専門は「社会言語学」「英語学」「談話分析」。今回お話を伺った方―先生の「私の一冊」、『レトリックと人生』は難しい本だと感じました。8私たち人間の営みにメタファーが果たす役割。※P27に柳谷先生によるご紹介文「私の一冊」を掲載。※25

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