幸友19
12/48

 当社は文字通り電機メーカーです。しかし私の学生時代の専門は物理でしたから、入社後は電機をはじめさまざまなことを勉強しなければなりませんでした。部門が変われば新たなことを勉強し、同じ仕事をしていても深く原理を追求して製品へ応用させていく。そして別の部門に変わればまた勉強して追求、その連続でした。そんなある日、時の首相小泉氏が幕末の儒学者・佐藤一斎の言志四録の言葉「三学戒」を紹介していました。「少くして学べば壮にして為すことあり。壮にして学べば老いて衰えず。老いて学べば死して朽ちず」。現代語訳は、「若くして学べば、大人になって社会の役に立つ人間になる。壮年になって学べば、年をとっても衰えない。年をとって学べば、死んでもその精神は永遠に残る」というものです。若い時に勉強しなければ仕事はできません。管理職になっても次の仕事がありますし、私自身、近年まで若手社員に基礎技術を教えていましたが、学び直すことで新たな発見がありました。そうして若手へ伝えていったことが会社の技術やDNAとなって残っていくのです。会社組織の目的は継続と発展。生物の個体が死んでもDNAを伝えていくように、会社のDNAをつなぎ発展させていくことが本来の姿です。 変圧器をつくって74年が経ちましたが、素材の変化、新しい半導体やITの出現など、勉強することは山ほどあります。しかしすべてを網羅できるわけではありません。ただ当社の社員は勉強第一に「確かな技術」でお客様とともに成長し続ける電機メーカーを目指しています。それは単にモノづくりの技術だけでなく、人を育て会社を発展させる技術でもあります。かつてのローマ帝国や中国の漢、あるいは徳川幕府のように長期繁栄した組織では、必ず最初に良い組織運営システムが創出されています。良い仕組みがあれば長い繁栄があります。当社でも、その仕組みをつくるために業務の標準化を進め、手順や標準を整備するとともに、体系的な教育で人材育成を推進しています。そうすることで会社のDNAをつないでいくことができるはずです。歴史を通して、当時の偉人たちが組織をどのように動かしていたかも日々学んでいます。原理に遡って物事を考える。これが私の行動原理。「人生死ぬまで勉強」企業人の格言企業のトップが語る人生訓Vol.10佐藤 徹(さとう とおる)氏/昭和25年愛知県生まれ。昭和47年名古屋大学理学部卒業。同年、愛知電機株式会社入社。平成12年理事電力事業部配電システム部長、平成13年取締役電力事業部長、平成14年取締役開発・環境事業部長、平成17年常務取締役開発・環境事業部長、平成19年代表取締役常務取締役、平成23年代表取締役専務取締役に就任。平成27年より代表取締役社長。愛知電機株式会社代表取締役社長げんししろくわか11

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る