幸友18
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ており、ルールは守られずに始まったなという印象です。ルール変更の趣旨について、企業も大学も本当に理解しているのかどうかは心もとない部分がありますが、少なくとも時期の後ろ倒しは大学側からのお願いでした。でも大学の力では企業の動きも学生の動きも止められなかったのが実態です。今回、企業の皆さんが苦労されている一番大きな理由が、実は売り手市場ということです。今年は時期の変更はあれど、企業の求人意欲や求人手続き状況を見ると、過去を振り返ってみても超売り手市場と言えます。学生の内定辞退でご迷惑を掛けている状況もありますが、本来の狙いとは違い、非常に長い期間で受験した企業から順次内定が出る形になっており、企業としては結果的に長く学生をつないでおかなければなりません。それとあわせて売り手市場であることが内定辞退の要因の一つだと思います。木野瀬 するとスケジュール変更で混乱を来たしているというよりも、売り手市場にたまたま変更が重なったという見方ができるということでしょうか。市原 そうですね。この変更が数年前なら、もっと違う動きだったかもしれません。今年は、3月の求人票の公開と同時に説明会の日程が決まり、待ち切れずなし崩し的に選考に入ってしまった企業がありました。岡部 私は少子化と大企業の景気の良さの両方だと感じています。我々の旅行業界ではやや減少はありましたが、我が社に関しては、大手の採用活動の影響を受けたことが大きな要因です。元のスケジュールに戻してほしいですね。学生が学業にもっと専念できるようにという趣旨だったはずですが、逆になっていると思います。市原 学生は、少なくとも3年生の3月までは学業に専念できますし、3年の秋に卒業論文の準備に入りますので、今年は4月の段階で、履歴書に卒業研究について書くことができたという事例はありました。大学の担当者としては、卒論は始まっておらず、学業もクラブ活動も途中の状態で、企業は学生のどこを見て採否の判断をされるのだろうと戸惑いを感じています。大学生全般に学力の低下が言われるようになる中、中部大学では、きちんと学生生活を送らせることで、学業だけでなく、クラブ活動などを通じて物事の考え方やコミュニケーション力など、人としての多様な力をつけさせたいと思っているわけです。でもそれが途中で就職活動に移行してしまう。つまり教育のロスが出ていると感じます。そういった声は産業界からも上がっており、学生にはきっちり勉強する時間を与えるべきだ、後ろ倒しの旗を降ろすなという声もあります。木野瀬 1970年代前半、激しかった青田買いは、1973年、卒業年度(4年生)の5月1日に会社訪問解禁、7月1日に入社試験実施という就職協定が制定され、改善されたように思います。しかし、その後また青田買いに戻っていきました。今年でいえば、経団連もよしとして始まりました。確かに問題点はありますが、これを来年また見直すべきなのでしょうか。自分たちの会社の都合[幸友会会員企業]株式会社ツーリストアイチJTBの総合提携店として、地域に密着した販売ネットワークとサービスを提供。“夢実現企業”夢(旅)をお売りいたします!をスローガンに、1枚の切符から海外旅行まで旅行全般の情報発信基地を目指し、「国際化社会」・「情報化社会」に対応できるように社員教育に力を入れている。学業への専念を目指したはずが学生にとっては逆効果に。おかべ せいじろう  岡部 清次郎氏株式会社ツーリストアイチ 代表取締役05

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