幸友18
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木野瀬 今年の就職活動は、スケジュールの変更に伴い一変しました。新聞紙上でも企業や学生の混乱や戸惑いの声を掲載する記事が多く見られます。そうした中、各企業なりの悩みもあると思いますが、まずは皆さんへの影響についてお聞きしたいと思います。宮田 我々人事担当者も混乱しているのが実情です。去年までは12月に会社説明会を開催し、選考後4、5月に内定を出すという一連の流れがありました。学生もまずは大手企業、その次に中堅・中小企業を受けていましたが、今年は一斉に3月スタート。当社としては新入社員の受け入れ準備と重なったため、手分けして対応するなどの苦労はありました。野村 会社説明会の開始時期が12月から3月に変わることで、応募者が減少する不安がありました。実際に去年の文系学生の受験社数は30〜40社だったのが、今年は15社程度。時期が集中したことで応募が減りました。そこで、3月の時点で学生に当社を選んでもらうにはどうすればよいかを一番に考えて行ったのが大学訪問です。3月に会社説明会を行ったときに、大手と重なり参加学生がゼロだったら…という不安から、まずは学生に会社を知ってもらい参加してもらうために、12〜2月に大学へ足を運びました。岡部 当社は旅行業で人気業種ということもあり、例年、会社説明会では多くの学生が集まります。スケジュールが変更されても今年はやや少ないかなと思ったくらいです。しかし、二次面接まで進んだ学生から辞退者が出ました。去年までは、大手の選考が始まった5月頃に内定の辞退が出ることはありましたが、例年通りとはいかずまさに異常事態です。はっきり言って甘く見ていました。今も、8月に内定を出した学生から、“回答を9月いっぱい待ってください”と言われています。木野瀬 内定辞退という切実な話が出ましたが、生方製作所さんでは学生の動きはどうですか。野村 内定を出し終えた後、先輩社員と会ってもらったり、会社の雰囲気を知ってもらう機会を設けたりしたことで、理系学生の辞退者は出ていません。ただ9月に入ってから文系学生で2名の辞退がありました。大手の内定を得たからという理由です。木野瀬 2名という数字は例年に比べていかがですか。野村 多いです。例年、当社では効力はありませんが、内定の受諾書をいただくと同時に、ほかに受けている会社の状況を聞いています。それを提出してくれた学生はほぼ100%入社を決めてくれていましたが、その点で今年は去年と違います。木野瀬 旭サナックさんはどうですか。宮田 当社は機械メーカーですので、例年理系学生を中心に採用していますが、今年は集まりが少なかったですね。最終的には文系を含めて9名の大卒予定者に内定を出しましたが、内2名からは誓約書を出した上で、もう少し考えさせてほしい、大手の最終選考の結果を見てから決めたいという話がありました。木野瀬 状況は日々刻々と変わっているようですが、中部大学としてはいかがでしょうか。市原 内定率で言えば、昨年の同時期と比べて15ポイントほど遅れています。開始が遅かったので想定内ですが、そうは言っても約半分が決まっ新卒採用の実態とホンネ〜就職活動時期の変更に、私たちは何を目指すべきか〜特集時期の変更から企業と大学が感じていることChapter 104

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