幸友18
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特別講演会場:アクティブホール(不言実行館1階)日本の基幹ロケットの現状と未来〜飛翔!日本のロケット—宇宙へ物を運びます〜三菱重工業株式会社 執行役員フェロー 防衛・宇宙ドメイン 技師長H-ⅡA/H-ⅡBロケット打上執行責任者中部大学フェア2015—人づくり・モノづくり・コトづくり・夢づくり—「地域からあてにされる大学」を目指し、「知のプラットフォーム」としての役割を担う中部大学の研究や、将来を見越したシーズを発掘するための研究を紹介する中部大学フェア。第11回目の今回は、2015年9月17(木)にアクティブホールでの特別講演からスタート。その後は、体育館へ場所を移し、研究シーズ発表やミニ講演会、施設見学会を開催。また、中部大学と企業、自治体、地域団体の皆様、学生が、知的財産の交流を図りました。 にむら  こうき  二村 幸基氏 さる8月19日、鹿児島県の種子島宇宙センターより打ち上げられたH-ⅡBロケット5号機に打上執行責任者として携わられた二村氏。打上執行責任者とは、機体や衛星の状態、打ち上げ設備、天候等を総合的に判断してロケット打ち上げの最終判断を下し、なおかつその打ち上げ結果の責任を負うポジションです。我が国のロケット開発・打ち上げの中核を担う立場からロケットの仕組みや開発の歴史、世界のロケット事情、現在の宇宙利用やこれからの宇宙開発についてなど、ロケットと宇宙についてお話いただきました。 二村氏いわく、ロケットとは「地球から宇宙にモノを運ぶロボット」。今回打ち上げられた宇宙ステーション補給機「こうのとり」も国際宇宙ステーションに物資を運ぶことが目的でした。「ロケットの仕事は衛星を宇宙空間の所定の場所まで運び、ある決められたスピードを与えて軌道に乗せること」だと二村氏はおっしゃいます。そのために必要な燃料はロケットの重量の約9割をも占め、残りは電子機器類や燃料を詰める容器だといいます。極端にいえば、燃料を積んだタンクにエンジンをつけて飛ばしているのがロケットなのです。 そんな日本のロケット開発は1955年、小惑星「イトカワ」で知られる糸川英夫博士がペンシルロケットの水平発射に成功したことから始まります。1975年には日本初人工衛星打ち上げ用液体燃料ロケットN-Ⅰが、1994年には国産ロケット第1号のH-Ⅱが打ち上げられ、その後2001年のH-ⅡAを経て2009年にH-ⅡBが開発されました。そして今年、「こうのとり」5号機を搭載してH-ⅡBロケット5号機が打ち上げられたのです。〈講師〉演 題PROFILE1982年3月、名古屋大学大学院電子工学専攻課程修了後、同年4月、三菱重工業株式会社入社。2000年、名古屋航空宇宙システム製作所宇宙機器技術部電子装備設計課長、2003年、同主席プロジェクト統括としてH-ⅡAプロジェクトマネージャ就任。2004年、同宇宙機器技術部次長、2008年、同部長。その後2011年4月に航空宇宙事業本部宇宙事業部主幹、7月に同副事業部長を務めたのち、2014年4月、防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 技監・技師長となり、2015年4月より現職。39

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