幸友18
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 毎日新聞の金曜日朝刊に、国際政治・外交・文化についてのコラム「金言」を毎週執筆している西川氏。講演では、フランスの大統領官邸エリゼ宮から日本の首相官邸における饗宴まで、宴席の舞台裏についてお話いただきました。なかでも興味深いのは、相手国の首脳を格付けするエリゼ宮によるおもてなし。その差は料理とともに出されるワインを見れば歴然だそうです。格付けの基準も「大統領と相手国首脳の個人的な関係性と、フランスとその国との関係性が大きな要素」と述べ、「たとえば英仏協商100周年を記念して開かれた歓迎会では、英国王室とエリザベス女王に敬意を表し、かつてイギリス領だったボルドー産の最高級ワインを提供している。その一方で、当時の日本の羽田首相がフランスへ公式訪問した際の昼食会では、プロヴァンス産のテーブルワインが出された。そこには羽田内閣に対するフランス側の読みと判断が見てとれる」と話されました。 その後、日本での饗宴の話に移り、首相官邸には料理人がおらず、提供する料理は、官邸が依頼する5つのホテルの中から入札か輪番で決められホテルがつくることなどが紹介されました。また、官邸では基本的に飲み物は白と赤のワインと清酒を出しているが、野田首相がキャメロン英首相を迎えたときは、日本で唯一の外国人(英国人)杜氏が造った日本酒でもてなしたことなど、官邸で出された過去のメニューと合わせてさまざまなエピソードを披露。また、以前は洋食、和食、和洋折衷の3種類の選択肢を提示し相手首脳の希望を聞いていたのを、2014年から和食一本で統一したことに触れ、これは和食のユネスコ無形文化遺産登録が追い風になっているとともに、安倍首相が日本の食文化を積極的に外交へ活かそうとしていることの表れだと解説されました。最後に「饗宴は単なる飲食ではなく政治の延長。いかに相手を大切に思っているかを、食を通して伝える場であり、外交の重要なツールである」と語る西川氏の言葉に、深くうなずく参加者の姿が見受けられました。企業経営講演会第23回 企業経営講演会2014年11月26日(水)開催おもてなし外交和食が変える首相官邸の外交戦術 にしかわ めぐみ西川 恵氏 中部大学 客員教授 毎日新聞社 客員編集委員演題講師REPORT15

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