幸友18
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 恵那駅前の通りを南下すると間もなく交差する中山道。そのすぐそばに建つのが中山道広重美術館だ。恵那の中心市街地の活性化事業として美術館が開館したのは平成13年9月のこと。近年では、地元のみならず東海圏、さらには海外からの来館者も増えたという。ここで所蔵されている作品の多くは、美術館の名前にもある歌川広重の浮世絵版画で、恵那市在住の実業家であった田中春雄氏のコレクションによるものが中心だ。田中氏は、中山道沿いに住まいを構えたことをきっかけに、中山道について調べるうち、広重が描いた「木曽海道六拾九次之内」の素晴らしさに惹かれ収集を始めたという。それから30年間にわたって集めた作品数は500点以上。それらの作品は全て寄贈され、このほか美術館を応援する方々からの寄付金で購入した作品などを含め、現在の所蔵総数は1300点を超える。 美術館の一押しは、やはり、保存状態も含め極めて上質な作品といえる揃物「木曽海道六拾九次之内」だ。浮世絵は、絵師が墨一色の版下絵を描き、それを彫師が版木に彫り込み、さらに摺師が顔料を載せて紙に写し取ることで完成する。言わば熟練の技術を持った職人たちの協同制作だ。しかし、同じ図柄でありながらはっきりとした違いを見てとれる作品が存在する。それは、摺りの違いによるもので、浮世絵は、最初に摺った200枚前後の版画を「初摺」といい、その後に重版されたものは「後摺」といって区別される。後摺は、版木が摩滅することで、線や色にシャープさが失われたり、版を重ねるごとに色数インターネットであらゆる情報を収集できる現代。もちろん旅先や宿の情報も簡単に手に入る時代です。さて、ときは江戸、その当時の人々の情報源でもあったのが浮世絵です。今回は絵師歌川広重の浮世絵を多数所蔵する中山道広重美術館を訪ねました。6中山道広重美術館しょずりあとずりそろいもの13

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