幸友18
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 努力をしたときとしなかったとき。小学生の頃からスポーツや勉強において、体験から確実に成果に差があることを感じていました。自分は天才肌ではないという自覚もあり、事前準備や基礎を大事にしてきました。そうした日々の積み重ねには目的が重要です。言い換えれば夢や大志と言えるかもしれません。これは企業経営も同じ。未来を想像して、目的に対してギャップがあれば、そこを埋めるために努力をします。 これはまだ当社が全国展開していない頃の話です。当時、医療用衛生材料分野において中部圏で大きなシェアを占めていました。しかし、将来のメディカル業界を予測したとき、現行のやり方では、やがて訪れる時代の変化に対応できないという危機感を覚えました。そこで生まれたのが変えなくてはという思い。それは会社を守らなくてはという気持ちではなく、変えたいという強い意志でした。経営には、このような内発的モチベーションが不可欠です。人は現状に満足すると努力を怠ってしまい、おのずと努力しない方向に流されてしまいがちです。だからこそ努力する方向に自らを持っていかなければならないのです。その際、当然リスクはあります。たとえば海外へ進出すべきか否かを決めるとき、進出するリスクとしないリスクの両方を考えます。進出する方を選べば海外特有の様々な問題に直面するリスクがあります。しかし、努力により回避する方法を発見できるかもしれません。一方、進出しない方を選べば、リスクを回避する手段さえ失い、かえってリスクは大きくなります。また、環境変化は努力で止めることもできません。つまり、どちらを選んでもリスクがあるならば、努力によって回避可能な方を選ぶべきでしょう。迷ったら進む。進むことで、運や縁を引き寄せることもあります。そうしたきっかけづくりも努力の一つではないでしょうか。後天的な努力で運命は変えられるという発想こそが目的を達成する第一歩だと考えています。未来を予測し、努力して、目的達成に近づいていく。「努力は人を   裏切らない」企業人の格言企業のトップが語る人生訓Vol.9大崎 将男(おおさき まさお)氏/昭和46年名古屋市生まれ。平成6年慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。同年、ライオン株式会社入社。平成9年同社退社後、大崎衛生材料株式会社(平成17年オオサキメディカル株式会社に社名変更)入社。入社後、慶應義塾大学ビジネススクール入学(平成11年卒業)。平成12年常務取締役就任。平成21年代表取締役社長就任。オオサキメディカル株式会社代表取締役社長11

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