幸友17
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に悩ましい話です。皆このように聞くと時間外労働の問題は、総論では賛成するのですが、各論になると旧態依然にするしかないとなり、なかなか変えられないのが実態です。女性管理職比率30%という数値目標については、0%の企業が30%にすることは容易ではありません。弊社の女性社員からは、どうしてそこにこだわるのかといった反応がありました。仕事と家庭のバランスを保ちながら長く働いていけることも一つの価値観であって、管理職を目指すことが唯一の目的ではないという意見もありました。このようなことからも分かる通り、今まで画一的な価値観が仕事にあったと思いますが、これからはさまざまな選択肢や価値観を認め合うようにしなければならないと思います。世の中の雰囲気として“女性管理職の人数=先進的な会社”といった考えがある中で、弊社のように女性管理職0%は非常に恥ずかしいことです。だからといって質を軽視するわけにはいきません。皆さんのご意見同様、数値目標だけを追求するのは少し違うと考えています。瀬尾 企業サイドとしても、今後は女性が新しいことにチャレンジできるように、新たな発想や切り口のもとで仕組みを変えていかねばならないことが前提にありそうです。これに対しての取り組みや、今後の方針などはありますか。岩田 制度などを活用しながら短時間で仕事の成果を出して昇進していくモデル事例をこれからつくっていかなければならないと思います。今まで、働いている時間でもって評価されていたことを、これからは短時間で成果を上げて帰宅し、家庭を大事にする人が評価されるように変えていく必要がありそうです。高橋 弊行では、育児休暇期間を最長2年間設けています。育児休暇制度利用者数は平成23年度末で94名、24年度末で101名、25年度末で130名、現在は130~140名で推移しています。女性行員数は約1200名ですから1割以上が育児休暇を取得していることになります。そのため、現場では業務が手一杯になっているのが現状です。もうすぐ復帰すると考えていると第2子を授かり、更に2年間育児休暇となる場合や、1年間の育児休暇予定が、託児所が見つからないことでもう1年延長する場合が非常に多くあります。女性の働きやすい環境の提供という意味では成功していると思いますが、現場がついていくのに精一杯になるだけでなく、女性社員のキャリアが中断されてしまう問題があります。業務の中心人物として働いてもらおうと考えていた方が復帰した際、業務についていけなくなってしまうのです。キャリア中断中のフォローアップが非常に重要になってくるのではいかと考えています。河口 弊社も育児休暇制度と短時間勤務制度を設けておりまして、育児休暇は最長1年半、短時間勤務は子どもが小学校に入学するまでと定職場の柔軟な対応で、女性が長く安定して働ける環境を。やまもと みつこ  山本 光子氏テンプスタッフ・ピープル株式会社愛知県名古屋市に本社を置き、県内で最初の派遣会社として1983年に創業。総合人材サービス企業として、人材派遣サービス、人材紹介サービス、アウトソーシングサービス、教育・研修サービスを展開。「雇用の創造」「人々の成長」「社会貢献」を企業理念に掲げ、あらゆる人々に「仕事を通じて夢や歓びを提供できる企業」を目指している。幸友会会員企業テンプスタッフ・ピープル株式会社専務取締役女性が活躍できる環境づくり〜いまあらためて求められる女性の力〜特集女性が働きやすい社会を目指して第3章08

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