幸友17
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指導により、近年は年1%ペースで管理職比率が伸びています。そのようなことから日本の企業、ひいては国力の低下を危惧しないわけにはいきませんので、女性管理職比率を上げようとしているのです。これまで女性の積極採用については、福利厚生の一環や企業の社会的責任(CSR)として捉えられることが多かったのですが、安倍総理の発言はそのような発想ではなく、経営戦略の一環であることを理解しないといけません。企業がこれから市場ニーズに対応して競争力を高めるためには、女性や外国人の労働力の活用が必要ですが、特に日本の場合は潜在力がある女性をさらに活用していきましょうというメッセージなのです。まずは経営トップから取り組みに対する意気込みを社内外へ積極的にコミットメントしていただきたいのです。言うだけでは組織の第一線までメッセージが浸透していきませんので、会社の行動方針や年次目標などに明記することが重要です。瀬尾 私の経験からも女性管理職比率を上げる以前に、女性が長期間安定して働ける環境をまず整えるべきではないかと思います。会社全体の残業時間が少なくなれば、女性が働きやすくなるだけではなく、男女ともに家事に携わる時間が増えるのではないでしょうか。皆さんは残業時間を短くすることについて、どのように考えていらっしゃいますか。高橋 残業時間は人事にとって永遠のテーマです。銀行は午後3時に店舗を閉めるため、残業が少ないと思われがちですが、実は店舗を閉めてからが勝負で、比較的残業が多い職場です。おそらく男性行員のほとんどが、育児や家事に携わることができない現状があります。女性管理職比率30%の目標についても、数値に捉われ過ぎない方がよいと考えています。人事も質を追求していかなければなりません。ですから、女性が活躍できる裾野を広げる努力を企業としていかに取り組んでいくかが重要だと思っています。山本 弊社では、賃金制度や昇進の機会は男女平等です。その中で管理職登用には、個人の適性を見て検討・判断しています。女性の場合、人を管理・評価するよりも与えられた仕事にしっかり取り組みたいという人もいますので、個人の意見を尊重するようにしています。マネージメントへの関心度合は、できるできないは別として男性の方が高い。これはジェンダーギャップだと私は認識しています。ですから、管理職の女性比率30%にこだわってはいけないと思います。河口 残業時間は、人事として本当多様な選択肢や価値観を認め合う企業風土を。かわぐち さとる  河口 悟氏CKD株式会社自動車・家電・半導体など、あらゆる産業分野の自動化に貢献する機械メーカー。事業は「自動機械装置の開発・製造・販売・輸出」と「機能機器の開発・製造・販売・輸出」の2つに大きく分かれ、自動化技術のパイオニアとして常に時代のニーズを先取りし、さまざまな商品を研究開発している。商品ラインナップは数十万点におよび、幅広い産業分野で活躍。幸友会会員企業CKD株式会社 人事部 部長07

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