幸友17
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瀬尾 「女性の活躍」を成長戦略の中枢に置く安倍政権が2020年までに管理職の女性比率を30%に高める目標を掲げました。女性の活躍の場が広がり、競争力強化につながることが期待される一方で、多くの企業にとって女性管理職30%の目標は、現実的に難しい課題になっているのも事実です。本日は「女性が活躍できる環境づくり」をテーマに、皆様の企業や組織で取り組まれている事例や現状を教えていただき、討論していきたいと考えております。最初に岩田さんからお願いします。岩田 安倍総理が女性の活躍を成長戦略の大きな柱にしようと、2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%に高める目標を掲げました。私ども行政機関も女性管理職の登用がそれほど進んでいないのが現状です。中部経済産業局では、職員のうち2割強が女性職員です。私が入局した当時は結婚・出産を機に退職される方も多かったのですが、3歳までの育児休暇制度など制度的に恵まれていることもあり、現在は30代職員の4割が女性です。しかしながら、育児休暇を取得する層が若手の中心として活躍する世代に集中していることから、人事担当者は苦労していると聞いています。肝心の女性管理職比率については、課長補佐8%、課長6%、次長以上については現在不在で、まだまだこれから本格的に取り組んでいく必要があります。育児休暇は男性職員も取得できますが、過去に取得した実績はありません。個人的には、もう少しこのあたりについて取り組んでもらえると良いのではないかと思っています。瀬尾 1986年に男女雇用機会均等法が施行されて約30年になりますが、女性の活用について話が出てくるということは、企業の中で女性の活用がなかなか進んでいない現状があるのだろうと思います。他の皆さんの職場はいかがでしょうか。河口 機械ならびに機器を製造販売する弊社は、国内約2100名、海外約1100名の正社員がいます。国内約2100名の13%にあたる約270名が女性です。恥ずかしながら、女性管理職はまだ一人もおりません。このような状況を打開すべく、社長の強い意向もあり、2008年より女性社員10人のメンバーからなる女性の活躍促進委員会を社内に立ち上げました。社内での聞き取り、先進的な取り組みをしている企業の事例について勉強を重ね、2009年に「女性ならびに男性の意識改革」「女性の採用と職域の拡大」「人事制度の充実」といった3つの提言がありました。2011年から提言を受けての取り組みが始まっています。「女性ならびに男性の意識改革」では、女性社員と女性社員を持つ上司を対象とした研修を行っています。特に、女性社員を対象とした研修では年2回社長自ら講話を実施し、過去3年間で6回開催しています。これまで延べ150名の女性社員と100名の女性社員を持つ上司が研修を行っています。「女性の採用と職域の拡大」では、総合職として毎年30〜35名の大学新卒者採用をしておりますが、そのうちの3割を女性にしていきたいと考えております。営業系、事務系ではなんとか3割を超えていますが、製造業の弊社は大学新卒者採用の半数が技術系となるため、3割を女性にすることがなかなか難しい状況にあります。積極的に女性の採用を進めてきたこともあり、ここ数年で大学新卒者採用の22%が女性になっています。そして、職域の拡大では一般職から総合職への転換の積極的な実施と、結婚・出産・介護などを理由に退職した社員を、本人の希望により再雇用するジョブ・リターン制度の導入を行っています。「人事制度の充実」では、育児休暇制度と育児短時間勤務制度の導入や、契約した託児所利用の斡旋などを行ってきました。今ひとつ力強さに欠けるため、もう一つ何か手が打てないか現在模索している最中です。先進的な取り組みをしている他企業に比べ、男性社員の意識が欠けていることも今後の改善点で女性が活躍できる環境づくり〜いまあらためて求められる女性の力〜特集企業での女性の活躍と女性管理職の現状第1章04

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