幸友17
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性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)をグラフ化した際にみられる特徴的な曲線のことです。日本では結婚・出産期に当たる年代にいったん低下し、育児が落ち着いてきた時期に再び上昇し、「M」の字を描くことが知られてきました。しかし、近年は図1のようにM字の谷の部分が浅くなっています。女性全体のM字カーブが解消傾向に向かっている要因としては、もともと労働力率の高い未婚女性の割合が増加していること、若い世代では配偶者の有無にかかわらず働き続ける女性が増加していること等があります。一見すると好ましい変化のようですが、出産後に復職する非正規雇用(パート、契約社員等)が多く、それまで積み重ねてきたキャリアは中断される傾向にあります。 これを大卒の看護師で考えてみます。国家資格を取得して病院に就職後、卒後教育を施し経験を積ませ、やっと一人前になって、後輩の指導もできるようになるのに大体5年かかるとして、27歳。現在、女性の平均初婚年齢が約30歳、第1子の出産年齢で多いのは30〜34歳ですから、ちょうど中堅看護師として活躍が期待される時期に、妊娠・出産が重なります。この傾向は一般企業でもそう変わりません。こう考えると、就労女性の妊娠・出産は本人だけでなく、雇用者としても大きな問題で、労働力の確保のためにも子育て支援がますます重視されています。 育児は「育自」ともいわれるように、親は子どもを育てているようで、実は親自身が人間として育てられているのだと思います。絶対正しい育児というものはありませんから、臨機応変さや「なるようになる」という寛容さも重要です。共働きとなると、親自身と子どものスケジュール調整、家族の健康管理が必須です。このように、女性が子どもを産み育てることで伸びる能力は、労働力としても新たな可能性を秘めています。人材不足が深刻化している看護職では、潜在看護師・助産師の復職促進のために研修やインターネット上での学習プログラムも行われています。 最近は「イクメン(子育てに積極的な父親)」が増えてきたとはいえ、男性の育児休業取得率は2・03%(平成25年)でなかなか政府の目標値に達していません。本人にその気持ちがあっても、身近な理解者、支援者が必要です。子育てに理解のある上司を「イクボス」というそうです。育児休業までは取得しなくても、家庭と仕事に置くウエイトを調整することはできるでしょう。子どもが親にかまってほしい時期は小学校まで。父親にとっても、子育て期はかけがえのない時です。その時期を夫婦で楽しめば、自然と親は笑顔に、子どもはすこやかに成長します。あなたもイクメン、イクボスを目指しませんか。24

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