幸友17
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 統計学、パターン認識、人工知能などによるデータ解析を用いて、大量のデータから相関関係やパターン、役立つ知識などを見つけ出すデータマイニング。多くの企業でデータマイニングが活用されており、身近なところではコンビニエンスストアのPOSデータから、一緒に購入されている商品の組み合わせなど、店頭商品の販売傾向の把握に活用されています。その要素技術としてある機械学習を専門に研究しているのが松井准教授です。理論と応用を行き来する研究からは新たな発見のみならず、金融や医療業界との共同研究が始まっています。「特定の分野内に最先端の素晴らしい研究があるにも関わらず、他分野に応用されることはほとんどありません。分野を越えて研究の応用ができれば、さまざまな可能性が広がるはずです」。 ログデータやセンサデータにおける分析と異常検知に関する研究を応用させて、人工心肺装置用スマートアラームの共同研究を行っています。心臓手術において心臓と肺の機能を代替する人工心肺装置のログデータと照らし合わせることで、従来では難しかった異常も自動的に検知して知らせることが可能になります。「センサデータにおける異常検知に関する研究について応用の可能性がある企業であれば、共同研究したいと考えています。企業の保有データを活用できれば、新たなビジネスチャンスが生まれるはずです」。ここ数年、研究の応用対象として農業や観光のデータが注目されています。「農業で栽培・育成中に問題が発生した場合、設置機器の計測値から異常を知らせることができれば、大きな損害を避けられます。また、日本の農業は農家の人の長年の経験に基づく技術や判断に大きく頼っていますから、そのような技術や判断基準をセンサで自動的に計測・情報化することで、これから農業を始める人に活用することができると思います」。さまざまな業界分野で松井准教授の研究が活かされそうです。生命健康科学部 臨床工学科 兼 工学部 情報工学科 まつい とうごろう松井 藤五郎准教授[専門分野]データマイニング、機械学習、異常検知[研究テーマ]センサデータにおける異常検知に関する研究—人工心肺装置用スマートアラームの開発—■試作した人工心肺装置用スマートアラーム研究分野の垣根を越えた応用が、新たな可能性を生む。データの分析・検知・予測が、豊かな日本を育む。さまざまな分野において、データの分析・検知・予測に関する研究を応用する。情報工学・臨床工学NO.321

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