幸友17
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たのが枯山水の庭だ。瑪瑙の原石、つくばい、手入れの行き届いた植栽…。数々の庭園を巡り参考にしながら作ったという中庭は、訪れた人にひとときの癒しを与えてくれる。 また、名都美術館では年に数回、企画展や特別展、名都美術館コレクション(所蔵品展)を開催している。日本画にもっと親しんでもらいたいとの思いから、ときに地元の芸術大学の日本画研究室との共催でワークショップも開催する。また仏像彫刻の展覧会や、さらには木偶師による人形の展覧会ではお囃子体験を行うなど、日本画の展覧会だけに限らないのも特徴の一つだ。 書籍や図録などの印刷物をはじめ、インターネットでも著名な作品を見られる昨今ではあるが、日本画ならではの岩絵具と呼ばれる鉱物質が持つキラキラ感や、粒の粗さによって生まれる濃淡などの質感や美しさは、絵を目の前にしたその場でしか味わうことはできない。かつて、軍一氏がそうされていたように、一枚一枚の絵との対話は、人が魂を込めて作り上げた作品であるがゆえにできることではないだろうか。また、絵を鑑賞しながらさまざまな想像を巡らせると、そのときの心の持ち様で、以前に見たことのある作品でも、どことなく違う見え方や新たな視点に気付くのはよくあることだ。 初代館長、軍一氏の絵に対する思いと、桑原氏による名古屋の文化の中心(都)になるようにという願いが込められた名都美術館。美術館としては決して大きくはないが、ちょっと時間が空いた時に足を運ぶのもいいだろう。多忙な日々を送る経営者の方々や企業人の皆様、絵と向き合うひとときを設けてみてはいかがだろうか。対話するには丁度いい大きさの美術館かもしれない。館長 石丸 正運さん美術や文化に触れることは、人が生きていく上でも経済活動を行う上でも非常に重要です。子どもたちの情操教育や地域との継続した連携など、今後も地道に取り組んでいきます。名都美術館〒480-1116 愛知県長久手市杁ケ池301番地TEL:0561-62-8884http://www.meito.hayatele.co.jp遥かなる悠久の大地 平山郁夫展平山郁夫は、昭和5年に広島県瀬戸田町(現尾道市)に生まれました。幼少期を瀬戸内の風光明媚で穏やかな自然の中で過ごし、東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業後は被爆の後遺症に苦しみながら画風を模索し、やがて玄奘三蔵に導かれるようにシルクロードへと向かい、制作に励みました。本展覧会では、平山郁夫シルクロード美術館(山梨県北杜市)、平山郁夫美術館(広島県尾道市)の所蔵品を中心に、約50点の作品と貴重なスケッチを展示します。平成26年12月14日(日)まで(月曜日休館)メノウでくし14

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