幸友16
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により70%まで削減し、最終的にはCO2排出権を活用したカーボンオフセットの利用により、CO2排出量ゼロを達成したいと考えています。この新本社をecoBCPモデルとして、更なるecoBCPの展開を図っていきます。 現在、中部大学様と一緒に、キャンパス内の新築建物単体から複数の建物群を対象としたecoBCPに取り組んでいます。そのきっかけは、今後の研究教育活動の発展に伴い、キャンパス運営面で電気が不足する課題が浮上したことです。新たな節電の必要性、予想される東海・東南海・南海連動型地震への対策、全学省エネ活動の更なる推進などから、ecoBCPの考えをキャンパス全体に適応した、スマートエコキャンパスへの取り組みがスタートしました。このスマートエコキャンパスでは、ステップごとに学部建物群のスマート化を図ることで、近い将来にはキャンパス全体のスマートコミュニティ化を目指しています。第一ステップは生命健康科学部、今年の夏から第二ステップとして応用生物学部、第三ステップは工学部へとスマート化を進める計画です。このような建物群でのスマート化は日本で初めての先進的な試みです。 第一ステップでは、電力需要側において、空調・照明の遠隔による自動制御と電力消費量の見える化による人的制御で省エネ・節電効果を高め、電力供給側では、ガスコージェネレーション、太陽光発電、蓄電池をマイクログリッドシステム(一つの建物や施設群でエネルギーをマネジメントする技術)によってトータルコントロールし、省エネとピークカットによる節電を図ります。昨年夏の運営結果は、24・3%と25%の節電目標をほぼ達成。省エネ目標値15%に対して夏期は、29・5%の削減を達成しました。エネルギーのBCP面でも、太陽光とコージェネレーション(発電時に発生した排熱を利用して、冷暖房や給湯などに利用する熱エネルギーを供給する仕組み)および非常用発電機の設置により、電力が途絶えた際に、実験機器と在館者用の最低限の電力確保が可能です。この取り組みは、社会的にも大きな意義があり、その一つが、段階的な整備手法の有効性を立証しつつあります。単体の施設レベルから施設群レベル、街、都市レベルへのecoBCPに発展させてゆくというものです。 これまで環境への取り組みは、平常時を中心に進められてきました。これからは非常時では、安心・安全とエネルギーの自立性を確保し、平常時では省エネ・節電、さらには生物多様性などの環境配慮を行うことが必要なのではないでしょうか。必要なエネルギーをどのように確保していくのかを真剣かつ、現実に則して考える時期なのではないでしょうか。そういった意味で、自然エネルギー、再生可能エネルギーの推進にも取り組まなければなりません。しかし、再生可能エネルギーは安定的ではありません。安定化に向けて蓄電池の利用や、水素発電などのさまざまな研究開発が必要です。しかし、実現化には少し時間がかかります。その間どうするのかを考えていかねばなりません。私たちは、そうした働きかけを含めてecoBCPへの取り組みを通して、愛する日本の将来のため、安心安全な国土建設に貢献したいと考えています。将来を見据えた環境への配慮中部大学との取り組み38

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