幸友16
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 人体の構造や運動を力学的に探究し、結果を分析・応用する「バイオメカニクス研究」、フィールド活動からデータ集積したものをまとめる「フィールド研究」。これら2つのスタンスで研究に取り組む宮下准教授は、理学療法士として患者やスポーツ選手に直接役立つ、現場重視の研究活動をしています。また、健康増進に向けた取り組みとして市民講座で講師を務めるなど、人々の健康に対する意識向上にも努めています。「肩こり・腰痛・膝の痛みは、歩き方や姿勢などの日常動作に起因したものが多く、動作分析からも関係性は明らかです。治療のポイントは日常動作の改善ですが、簡単に分析・チェックできる機器・機材が少ないことから動作と症状の関係性の追究が難しく、この分野の発展を妨げている一つの要因となっています」。理学療法は動作を分析することが非常に重要で、研究者の多くは臨床での経験から重要なことを知りながらも、学会で発表できるほどの充実した動作データを簡易に得ることが難しい現状にあります。臨床においても患者データのストックが難しく、導入コストや分析に時間がかかることもあり、安価で簡易に分析・チェックできる機器・機材が求められています。 近年、血圧計が普及し、家庭でも簡単に計測できるようになりました。血圧のように日常生活で筋肉や関節の状態をセルフチェックができる機器があれば、予防意識が高まるだけでなく、理学療法分野の進展にも大きく貢献します。「最近では、メーカーも業界・分野の垣根を越えて多種多様な機器を開発・製造しています。身体・健康を簡単に管理できる、あったらいいなと思う機器についてのアイデアがたくさんありますので、開発・製造を検討していただける企業とお話しするチャンスがあればいいですね」。現場での収集データを、研究データとして簡単に落とし込める機器やシステムの普及が、理学療法分野の進歩のカギと言えるかもしれません。生命健康科学部 理学療法学科 みやした こうじ宮下 浩二准教授[専門分野]理学療法学、スポーツ外傷学、バイオメカニクス[研究テーマ]スポーツによって生じる外傷(障害)とスポーツ動作の関係について       バイオメカニクスの視点からの分析■キャンパス内での理学療法実施理学療法の施術により、各運動部の学生をサポートしている。施術現場で感じる、理学療法分野発展の可能性。研究者たちが待望する計測機器。臨床やスポーツの現場で得たデータを、患者やスポーツ選手に還元する。NO.3 理学療法学21

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