幸友16
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大学院6研究科15専攻と7学部29学科の総合大学として知的資産を集積する中部大学。今号も、今後社会への貢献が期待される個性的な研究活動をご紹介します。産官学連携や事業化等にぜひご活用ください。 注射針ほどの極細パイプの先にある、半透明の青白く丸い光の粒、それがマイクロフレームです。「スケールが小さくなると、普段目にすることのない現象が見られるマイクロフレームに魅了されています」。そう、にこやかに語る平沢准教授。マイクロフレームは発熱密度や制御性が高く、高効率でクリーンな燃焼も可能。しかし当初は、実用的な応用先が見つかっていませんでした。既存の加熱ニーズとマイクロフレームの加熱能力がかけ離れていたのが、そもそもの原因ですが、そのギャップを埋めたのが、マイクロフレームを沢山並べたマイクロフレームアレイです。「はじめは軽い気持ちでバーナーを並べてみました。後から考えれば当たり前ですが見事に失敗。しかし、予想していないことが起きるのはこれまでの燃焼研究ではない経験でした」。予想外の結果は今も時々起こり、その度マイクロフレームの期待を新たにさせられるのだとか。様々な応用製品に向け、マイクロフレームアレイについて企業との共同研究が進行中です。  マイクロフレームのアレイ化は、マイクロフレームの応用、燃焼利用の範囲を広げる入口で、まだその先がありそうです。「マイクロフレームが燃焼の可能性を広げるポイントは、小スケールと固体壁面にあると考えています」。マイクロフレームの温度が制御できるのも、これらのポイントによるものとのこと。「燃焼は、発熱と放熱のバランスで維持されますが、炎が小さくなるとこのバランスが崩れます。今までとは違うところでバランスをとれば、従来にはない燃焼ができます。そうすることで燃焼の可能性が広がっていきます」。つまり、燃焼自体を目的に合った方向に変えようということです。そういった制御の範囲を広げることで、例えば、“直接火炎型燃料電池(DFFC)”などの応用も可能に。「スケールによって最適な発電方法は違います。手のひらサイズぐらいのスケールで考えると、DFFCは発電装置として期待できます」。これからの研究開発次第で、燃焼を利用した新たな発電装置の実現も夢ではなさそうです。工学部 機械工学科 ひらさわ たろう平沢 太郎准教授[専門分野]燃焼工学、反応性流体力学[研究テーマ]マイクロフレームのアレイ化やクラスタ化による新燃焼方式の研究および開発■小さな丸い青白い炎が並ぶ マイクロフレームアレイマイクロフレームアレイの一例。これまでで一番多いものでは600個を超える。炎を小さくすることで、燃焼を制御する。スケールによる制御が、燃焼利用の可能性を広げる。 小さな炎、“マイクロフレーム”を活用し、 エネルギーを有効利用する。NO.2 燃焼工学2mm20

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