幸友16
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日本から見た世界、世界から見た日本。ビジネスをグローバル視点で捉え、世界の動向を把握することで、日本企業がこれから直面する課題と展望が導き出されます。知識と経験に裏打ちされた講演に、参加者は企業経営の光明をつかんでいました。※所属・役職は講演当時のものです。 NHK解説委員としてエネルギー・地球温暖化問題、グローバルマクロ経済、アジア・新興国経済を担当する嶋津氏。シェールガス革命の実態と世界情勢、日本への影響についてお話いただきました。はじめに、アメリカが、従来のガスよりも地層深く採掘困難といわれたシェールガスの採掘技術を開発し、生産を始めたことでシェールガス革命といわれるようになった経緯を説明。「この革命は、なによりも量の革命。天然ガス資源量倍増により、地球上の天然エネルギー資源が枯渇するといった議論に終止符を打ちました。将来的には、石油・ガスの低価格化が期待されています」。次に、世界へ与える影響については、「アメリカのシェールガス革命は、エネルギー資源国からの天然ガス取引の流れを大きく変え、エネルギー価格のみならず、国家戦略にまで大きな影響を与えています。特に、ロシアのエネルギービジネスにおける困惑は顕著です」と、シェールガス革命が各国にもたらす功罪について触れました。日本については、大きな恩恵を受けることを指摘。「福島原発事故以降、発電を中東の高価な天然ガスに頼っており、国際エネルギー機関(IEA)の予測では、2035年までに日本の電気料金は世界一高くなります。日本の産業・経済界に与える影響は甚大です。しかし、アメリカの安いシェールガスを購入できれば、このような予測が解消されます」と述べる一方で、期待が高すぎるとも懸念。最後に、「シェール革命は中長期的にエネルギーにおける中東依存の軽減効果を期待できますが、中東地域の非常に不安定な情勢を見ている限り、日本はエネルギーの多様な選択肢を失うべきではありません。今後、中国などの国々がはらむエネルギーに関する不確定要因の動向次第では、シェールガスを取り巻く状況は一変する可能性があります」と指摘し、今後の動向を注視する必要性を訴求されました。〈演題〉シェールガス革命は日本を救うのか〈講師〉 しまづ はちなり嶋津 八生氏 NHK解説委員第20回企業経営講演会2013年7月24日(水)開催16

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