幸友16
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企業経営講演会Report 東芝で半導体の技術開発に携わり、東芝グループで要職を歴任。その後、サムスン電子のメモリ事業部フラッシュ開発室顧問として、韓国を代表する企業を内側から眺めてきた宮本氏。「変わることが常に良いこと」という社風のもと、変化が激しい半導体開発現場での体験を、日本の開発現場との違いを交えながらお話いただきました。なかでも繰り返し強調されていたのが、トップダウンの徹底。サムスンでは昇進するために、上司の意に添う行動をするとのこと。「仕事の判断・意思決定はとても早く効率的。強化部門へダイナミックな人事異動をおこない、優秀な人材の獲得にはリクルート部隊が世界中を探し回り、組織長が指揮をとりやすい組織編成をおこなう。予算の使い方にも柔軟性がある。本当のグローバル化とは、世界企業から優秀な人材を獲得し、好待遇で迎えるなど、お金をかけてでも行うことではないのか」と指摘されました。また、実績評価から熾烈な実績獲得競争が生まれ、ライバルに負けると退職する韓国人のプライドの高さも相まって、敗者は自ら去っていくサムスン流とも言われる厳しい会社の一面も紹介。さらに、開発手法については、「競合会社をベンチマーキングし、新技術に対していち早く追随をする一方で、マーケットを創造した経験がないため、売上・利益では世界屈指であるが、自社開発技術に自信がない実情がある」と説明されました。また、日本と韓国の企業を比較し、「日本のように数年で変わるサラリーマン社長に、器の大きな判断とリーダーシップが発揮できるのか。そして、団体活動に強い“和の国日本”を技術開発現場で生かしていくことができないものか」と提言。最後に、「果たして、サムスンのように変わることが常にいいことだと言えるのだろうか」と疑問を投げかけ、講演を締め括りました。〈演題〉内側から眺めたサムスン半導体〈講師〉 みやもと じゅんいち宮本 順一氏 中部大学特命教授第19回企業経営講演会2012年11月14日(水)開催15

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