幸友16
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言えることですが、企業の繁栄や個人の幸せも大事ですが、それと同時に社会の幸せ・豊かさに自分の仕事が繋がっていると実感できることが大切だと思います。岡山 ホスピタル(病院)はホスピタリティが語源です。当然のことですが、病院で働くスタッフの多くは、ホスピタリティを持っています。ほとんどのスタッフは専門職であり、患者さんと接する仕事が中心となるため、一般企業に比べて目的意識も高く、ホスピタリティを備えて病院に入職してきます。そのような素質を学生教育で、いかに伸ばし、継続させられるのかを考えていけたらいいですね。木野瀬 学問としての教育も必要ですが、心の教育も備えていないといけませんね。大学と企業の取り組みとして産学連携がありますが、実際の取り組みと、その課題を教えてください。波岡 中部大学さんとは既にスマートキャンパス構想の計画を一緒に進めさせていただいておりますが、こうした新しい取り組みは産学連携の大きな成果の一つだと思います。建設業界では、技術的には大きな進展があるものの、建設のシステム全体を根本から変えるような大きな革新は残念ながら未だありません。大学での大胆な発想とそれを実現に結び付ける我々実業とが化学反応を起こし、イノベーションに繋がるような連携の実例を創りたいですね。小杉 熱機器メーカーの当社は、エネルギーを効率良く燃やすための燃焼技術、熱交換、流体制御、それに関わる電子制御などで産学連携して取り組んできました。しかし、非常に高度でシステム化した複雑なものになってきているため、次の社会に役立つニーズを拾うのに時間が掛かるだけでなく、それを解決する基礎技術に今まで以上に時間が掛かります。企業は、どうしても早く成果を出すことに優先順位を置きがちです。研究とのバランスをとって進めるように気を付けなければなりません。産学連携ではイノベーションの上流と、それを実現していく基礎技術・研究を大学に行っていただき、実用化が見えてきたところで企業がその研究成果を買うというスタイルが重要になってくるのではないでしょうか。木野瀬 実利が伴ったいい例ですね。最後に、中部大学に期待することをお話しいただけますか。佐藤 会社・個人として、私たちが社会のために何ができるかを常に考えようと社員に語りかけています。厳しい時代の中で、自分を守ることや、生活を確保することが難しく、それらが重視されたりしますが、働くことの大義や目指すべき志を忘れないでほしいですね。それらをどうしたら各々の心に植え付けられるかと考えると、さまざまな経験、行動、触れ合うことでしかできないはずです。そういった意味で大学は、自分で一定の判断ができるレベルになった学生たちが、自分の見識や人間性を高めるために精進できる場だと思います。大学は色々なことを経験し、色々な人と交われる場所であってほしいと思います。ボランティア活動などを、大学をあげて支援していただくことも非常に有効な方法であり、インターンシップも新たな方法を模索しながら取り組んでいただきたいですね。大学は、専門領域を学んで修得させる場から、広く社会に開かれた学びの場になってほしい。そういったことからも、大学のあり方はどんどん変化していっていいのではないでしょうか。小杉 我々は人物本位で会社の考え方に共感できる熱意ある人、チームワークを重んじる人を重視しています。学生時代に色々なものに挑戦して幅を広げ、社会との接点を増やし、経験、行動した実績がものをいいます。そうすれば、会社の中でどのように成長し、仕事で役に立っていけるのか自信を持って面接で言えるでしょう。授業やアルバイト以外で何かに熱中できる人は、仕事にも熱中できる要素があると思いますので、そのような機会を与えていただけれ変化する大学のあり方と中部大学への期待第3章09

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