幸友15
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小野 日本経済を取り巻く環境変化の中、企業は絶えず事業のあり方を変革していかねばなりません。特に各種メーカーは、空洞化を心配しながらも海外進出を果たしてきました。過去10数年間、進出の中心は中国でしたが、カントリーリスクの高まりや人件費の高騰などから、最近では次の展開として東南アジア、中でもインドシナ諸国に脚光が当てられています。そこで本日は、この地域への理解を深めるとともに、日本企業はどのようにビジネス展開をしていけばよいか、またそのためにどんな人材を育てていく必要があるかなどを語り合っていきたいと思います。まずは、上田先生からこの地域の認識しておくべき内容についてお話し願います。上田 ASEAN諸国のうち、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの4カ国を、国名の頭文字をとって「CLMV」と言います。これは、ASEAN諸国の中でも、後発ASEANを表す言葉としてよく使われます。ASEAN全体の発展、またこの4カ国の経済的な成長のため、日本政府だけではなく、アジア開発銀行やIMFなどの国際的な金融機関もCLMVを支援しています。その代表的な一つが、インドシナ半島を縦横に結ぶ経済回廊、道路インフラです。そういう点で、チャイナプラスワンはベトナム、最近ではミャンマーなどと言われますが、物流インフラの発展とともに、この4カ国が一体化して相互関係を深めながら発展していくという見方が賢明です。アジアの経済成長のデータを見ても、中国、インドに次いでこの4カ国が成長率の高い国として入ってくるように、今後この地域に注目して間違いありません。特にミャンマーは、アメリカの経済制裁も一部緩和されて、日本の円借款再開の動きもあり、投資ブームが起こっています。西欧諸国の援助や投資が増加すれば、まさに4カ国が非常に大きな成長の潜在力を持っているという見方ができます。小野 人口規模や所得水準、資源、宗教面などについてはいかがでしょうか。上田 主な基礎データは表の通りですが、ラオスは金や銅の鉱物資源に恵まれ、水力発電でも安定的に外貨を得ています。東南アジアのバッテリーと言われるほど水力発電による電力供給が大きく、タイやベトナムへ電力を輸出しています。一人あたりのGDPもベトナムの次で1,000ドルを超えています。一方ベトナムは、労働力が豊富で、資源も十分にあり、米の輸出国でもあります。ミャンマーは石油や天然ガス、鉱物資源が豊富で、カンボジアも海底油田があります。親日度は4カ国ともに高いですね。特にモノづくり企業の皆様の関心は、現地での投資環境だと思いますが、ベトナム、カンボジアには日本の商社を中心とした日系の工業団地、経済特区があり、安心して生産に集中できます。ミャンマーも新しい経済特区に日本のODAも入れて、日本企業を受け入れています。賃金的には、ミャンマーが一番安く、カンボジア、ラオスの順で、ベトナムは毎インドシナ諸国の最近の動向と高い潜在成長力第1章インドシナ諸国の経済状況とビジネスチャンスDISCUSSION 201206

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